政策ビジョン研究センター設立記念フォーラム

政策ビジョン研究センターのミッションとゴール(森田朗センター長)

現代社会は、高齢化、国際化等が引き起こす多数の課題に直面している。大学での研究はその解決に役立つ知識を生産しているが、必ずしもそれが実際に解決策として活用されていない。現実の課題を解決するためには、多分野の知識を総合することが必要であるが、東京大学は、多くの部局が多様な研究を行っており、それらを組み合わせ活用することが可能である。また、現実の課題は時々刻々発生し変化しつつあり、それを解決していくためには、的確な解決策をタイミングよく発信していくことが肝要である。

政策ビジョン研究センターの使命は、東京大学の生み出すそのような「知」を課題解決のための政策として提言することである。もとより大学が、政治的性格をもつ政策を提言することについては、注意を要することはいうまでもない。あくまでも大学からの発信である以上、客観的なエビデンスに基づく政策の選択肢を提示することが、このセンターの役割である。

当センターは小さな組織であり、そのメンバーだけで政策研究を行うのではなく、課題ごとに研究ユニットを立ち上げ、東京大学の各部局が行う、あるいは行っている研究の成果を調整・結合し、提言として発信することが活動の中心である。そのために、外部研究資金による自主的研究や受託研究を積極的に企画するとともに、他部局と共同研究を実施し、また他部局の研究成果の発信を支援する。

現在、北東アジアの安全保障、知的財産とイノベーション、医療・生命倫理等の研究ユニットを設置ないし設置準備中である。課題解決にはタイミングも重要であり、それらの成果がまとまり次第、フォーラムやシンポジウムを開催するとともに、随時、ホームページ上で、課題の分析や政策提言を発表していきたいと考えている。東京大学と社会を結びつける結節点として、広く学内外の方々がアイディアを述べあう研究会も開催するので、関心をもつ方々の参加を期待している。