クリニカルデータ国際シンポジウム

たくさんのご来場、誠にありがとうございました。開催報告はこちらをご覧ください。

〜未来へ向けたデジタル診療情報の利活用を考える〜

開催の趣旨

 平成13年12月26日に保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザインが策定されてから、8年が過ぎました。この間、医療機関における情報化は進み、多くの診療情報が電子保存されました。また、少子高齢化がますます進む一方で、100年に一度という大不況が訪れ、医療にかける財源不足が周知のこととなりました。

我が国の医療は、右肩上がりの成長経済を背景に、十分な財源と質の高い医療従事者の養成により、WHOの評価でも世界最高水準にあるとされてきました。しかし、近年、産科小児科や救急医療問題など医療崩壊と呼ばれる課題も明らかになってきました。いわば、医療システムの病期は、第一期の財源確保の問題から第二期の医療提供体制の問題へと進行しつつあります。そこで、豊富に蓄積されつつあるにもかかわらず上手く使われていないデジタル診療情報(クリニカルデータ)を活用することで、医療の効率化や安全性の向上、エビデンスに基づいた研究開発や医療政策決定への応用などが期待されています。

本シンポジウムでは、まず、イギリスのNHSにおけるデータ解析や米国オバマ政権下での医療IT化政策、我が国のDPCのデータ利用等を紹介いただくとともに、最新のIT研究やEUにおける個人情報保護の問題を御報告していただきます。その上で、個人情報を保護した上でのクリニカルデータの利活用について、各界の識者の方々に議論いただくパネルディスカッションも実施することと致しました。

欧米や我が国の最先端の研究者や各界の方々の英知を合わせることで、「医療崩壊を救う処方箋」がでることを期待しております。医療界に限らず、幅広い分野の方々のご参加をお待ちしております。

【日時】2010年3月5日(金)10時00分〜18時30分(受付9:30〜)
【場所】東京大学 医学部教育研究棟 14F 鉄門記念講堂
【主催】東京大学政策ビジョン研究センター
【後援】日本医療情報学会
【支援】経済産業省
【定員】250名程度   
※入場無料・事前申込制
※日英同時通訳付

堀場製作所最高顧問、政策ビジョン研究センター顧問
堀場雅夫氏からのメッセージ
情報技術が進歩したにもかかわらず、有用な情報や知識が分断、死蔵され、活用されていないのが大きな社会的ロスである。医療分野はその最たる例だ。診療情報を統合、分析して活用できるようになれば、効果的な治療法のスピーディな普及、副作用情報のいち早い分析、地方における専門医の教育の画期的な充実など夢のフロンティアが広がっている。ただ、一部グループは必ずしも賛成ではなく、壁にも直面するだろう。このようなフロンティアの開拓は、人類共通の課題であり、同じ意思を持つ国や研究機関と手をつなぎ、力を結集することで乗り越えて欲しい。今回始まる新しい試みに大いに期待したい。

シンポジウム終了後に、登壇者と参加者との自由な意見交換の場として懇親会を開催します。
日時:2010年3月5日 18:45〜20:30
会場:カポペリカーノ(東京大学医学部教育研究棟 13F シンポジウム会場の下の階)
定員:100名 ※事前申込制・立食形式
会費:5000円(会費は懇親会会場で受付けます)

プログラム 10:00-18:30

プレセッション

10:00- オープニング

オープニング: 森田朗 教授 (東京大学政策ビジョン研究センター センター長)(5分)
プレセッションの説明: 坂田一郎 教授 (東京大学政策ビジョン研究センター)(5分)

10:10- 「わが国におけるクリニカルデータ利活用の現状」 (20分×3)

新田見有紀 特任研究員(東京大学政策ビジョン研究センター)
「類似症例における処方パターン提示システムの開発と課題」
森川富昭 病院教授(徳島大学医学部・歯学部附属病院 病院情報センター センター部長)
「病院経営,臨床指標をいかに病院情報システムから抽出し役立てるのか-徳島大学病院事例」
樋口範雄 教授(東京大学大学院法学政治学研究科)
佐藤智晶 特任助教(東京大学政策ビジョン研究センター) ※報告担当者
「クリニカルデータの利活用における法の役割」

11:25- 質疑応答 (15分)

11:40- クロージング

秋山昌範 教授(東京大学政策ビジョン研究センター)(5分)

シンポジウム

13:00- オープニング

松本洋一郎 東京大学理事・副学長 (20分)

13:25- セッション1:クリニカルデータの知の構造化の実例

康永秀生 特任准教授
(東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学講座)
「Diagnosis Procedure Combination データベースを用いた臨床研究(Clinical studies using the Diagnosis Procedure Combination database)」 (20分)
Azeem Majeed 教授
(Professor of Primary Care and Head of the Department of Primary Care & Public Health, Imperial College London, UK)
「Use of data from EHRs for epidemiological and health services research in the UK
(イギリスにおけるクリニカルデータの疫学・医療サービス研究での利用)」 
(30分)
伊藤孝行 准教授 
(名古屋工業大学大学院 産業戦略工学専攻/情報工学科)
「クリニカルデータ応用のためのマルチエージェント技術(Multi-Agent Technologies for Clinical Data Applications)」 (20分)
野村泰伸 教授
(大阪大学大学院基礎工学研究科)
「多階層における生理機能の定量的統合を支援するプラットフォームの開発(An insilico Platform for Quantitative Integration of Physiological Functions at Multiple Levels)」 (20分)

15:15-15:30休憩 (15分)

15:30- セッション2:クリニカルデータの高度利用に必要な「社会システム」

John D. Halamka 教授
(Chief Information Officer, Beth Israel Deaconess and Harvard Medical School)
「Emerging and Innovative Sources of Health Data for Clinical Research(臨床研究を行うための新しく・革新的なクリニカルデータの情報源)」 (30分)
Nikolaus Forgo 教授
(Chair, Legal Informatics and IT Law, the University of Hanover)
「Data protection and data security in European e-health projects: A legal and ethical point of view.(ヨーロッパにおけるEヘルスプロジェクトでのデータ保護とセキュリティ−法的・倫理的側面からの検討)」 (30分)
秋山昌範 教授 (東京大学政策ビジョン研究センター)
「クリニカルデータを高度活用して効果的な予防・治療を受けるために(Can we utilize clinical data for effective prevention and treatment?)」(20分)

17:05-17:15休憩 (10分)

17:15- パネルディスカッション (40分)

パネリスト(予定)
秋山昌範教授(座長)、John D. Halamka教授、Azeem Majeed教授、
Nikolaus Forgo 教授、古川俊治教授(慶應義塾大学/参議院議員)

18:00- セッションの総括と提言

秋山昌範 教授 (東京大学政策ビジョン研究センター) (10分)

18:15- クロージング

森田朗 教授 (東京大学政策ビジョン研究センター センター長) (10分)

※各登壇者の( )内の時間は講演時間です。各登壇者に交代の時間を5分設けています。
※プログラムは、2月9日現在のものです。詳細が確定次第更新いたします。

アクセスマップ

東京大学 医学部教育研究棟 14F 鉄門記念講堂


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