第1回 持続的リン利用シンポジウム ポスター

開催概要

【日時】  2014年3月10日(月)9:30-17:00
【場所】 東京大学 伊藤国際学術研究センター地下2階 伊藤謝恩ホール
【主催】 大阪大学大竹プロジェクト(三井物産環境基金)、大阪大学大竹プロジェクト(アサヒグループ学術振興財団)、日本学術振興会「異分野融合による方法的革新を目指した人文・社会科学研究推進事業」城山プロジェクト、科学技術振興機構 社会技術研究開発センター「科学技術イノベーション政策のための科学研究開発プログラム」松八重プロジェクト
【共催】 東京大学政策ビジョン研究センター(PARI)

※参加無料(事前登録が必要)
※定員200名

プログラム

全体司会進行 松尾 真紀子(東京大学大学院)
9:30〜9:45 開会挨拶
城山 英明(東京大学 政策ビジョン研究センター長・公共政策大学院副院長)
佐藤 真砂美(三井物産株式会社 環境・社会貢献部 社有林・環境基金室 マネージャー)
9:45〜10:00 趣旨説明
城山 英明(東京大学大学院)

10:00〜11:00 第1セッション 持続的リン利用とは
リンの持続的利用とは「世界のすべての農民が、食糧を生産するために必要なリンを十分に入 手でき、しかもリンの利用にともなう環境や社会への負の影響を最小限に抑えること」を意味し ます。人間は食糧を生産するために、天然資源のリン鉱石を掘り続けています。自然界でリン鉱 石が生成するには、一億年もの長い年月が必要です。したがって、人間にとってリン鉱石は事実 上有限かつ非再生可能な資源です。欧米や日本でリンが過剰に消費されて環境が汚染する一方で、 アフリカや南米では食糧の生産に必要なリンが不足しています。リンの無駄使いをやめ持続的な 利用をめざすことは、リン鉱石資源の枯渇を遅らせるばかりか、歪められた地球のリン循環を矯 正し汚染を減らすことにもつながります。第1 セッションでは、持続的リン利用の重要性を食糧 生産などの視点から議論します。
司会 城山 英明(東京大学大学院)
大竹 久夫(大阪大学大学院) 持続的リン利用パラダイム
川島 博之(東京大学大学院) 世界の食糧問題

11:00〜12:00 第2セッション 世界とわが国におけるリン資源問題
世界のリン鉱石の経済埋蔵量の約75% は、旧スペイン領西サハラを含むモロッコ王国一国 に集中しています。日本や欧州には、リン鉱石資源はほとんど存在しません。世界の主なリン 鉱石の産出国は、中国、米国、モロッコおよびロシアであり、この4 ヶ国で世界の総産出量の 約75% を占めています。今、リン鉱石資源の偏在と産出国における資源ナショナリズムは、 世界のリン鉱石市場の脅威になりつつあります。日本はリン鉱石を産出しないため、リンのほ ぼ全量を海外からの輸入に頼っています。加えて、わが国は食飼料の多くを海外から輸入して おり、その生産のために海外でも大量のリンを消費してます。第2 セッションでは、世界と日 本のリン利用の実態とリンの資源問題について議論します。
司会 常田 聡(早稲田大学)
松八重 一代(東北大学大学院) 世界のリン利用と資源問題
三島 慎一郎(農業環境技術研究所) 日本のリン利用と資源問題
12:00〜13:20 休憩

13:20〜14:40 第3セッション 座談会:持続的リン利用への産官学の取組み
欧米では、リンの持続的利用は技術よりも社会や経済の問題との認識が強く、技術はあって も使われない現状を打破するため、社会や経済のシステムを変えようとする議論が行われてい ます。言い換えれば、リンの持続的利用を実現するための事業が、新たなビジネスとして成り 立つための環境をまず整備しようという考えです。欧米では今、持続的リン利用に関わる広範 な利害関係者が集まり、政治、経済、行政、産業と社会にまたがるシームレスな議論が行われ ています。欧米の取組みとの比較において、日本の立ち位置はやはり技術であり、いかに産業 に利益をもたらすかが重要です。わが国においても、国の戦略的な政策支援と回収リン市場の 確立は極めて重要です。第3セッションでは、持続的リン利用へ向けての産官学の取組みにつ いて議論します。
司会 大竹 久夫(大阪大学大学院 )
成田 義貞(日本肥料アンモニア協会)
用山 徳美(日本燐酸株式会社)
國貞 眞司(三國製薬工業株式会社)
白崎 亮(国土交通省)
長坂 徹也(東北大学)
14:40〜15:00 休憩 + ビデオセッション

15:00〜16:30 第4セッション 持続的リン利用をめぐる総合討論
持続的リン利用は、まだわが国では重要な政策課題にはなっておらず、その必要性について も議論が始まったばかりです。行政が適切な措置を取ることができるためには、その措置が国 民に広く受け入れられるか、経済的な便益が明確でなければならなりません。そのためには、 国民に持続的リン利用の意義と行動することの重要性を十分に理解してもらう必要がありま す。国民の選択は、技術改革よりも大きな影響力を持つことがあります。一度国民がリンの持 続的管理の重要性を理解すれば、国も動きやすくなります。国がリンの持続的利用を政策課題 とする際には、社会の駆動力となっている文化や伝統、自然環境や市場原理などをうまく利用 する必要があります。第4セッションでは、持続的リン利用を実現するために何をなすべきか、 参加者全員でシームレスな議論を行います。
司会 鎗目 雅(東京大学大学院)
小島 正美(毎日新聞社)
太田 淳一(岐阜市)
矢作 学(全国農業協同組合連合会)
森本 亮子(国際環境研究協会)

16:30〜16:50 閉会挨拶

※参加希望の方は、お名前(漢字・フリガナ)、メールアドレス、ご所属を明記の上、
Eメールにて sympo2014@bio.eng.osaka-u.ac.jp までお申込み下さい。

連絡先: 大阪大学大学院工学研究科 生命先端工学専攻 教授 大竹 久夫
住所: 〒565-0872 大阪府吹田市山田丘2-1 TEL 06-6879-7437


関連情報

日経バイオテク 「新春展望2014、持続的なリン利用こそ世界食糧問題の根幹」
大竹久夫(大阪大学教授、リン資源リサイクル推進協議会会長)