第4回URAシンポジウム・第6回RA研究会 / 大学研究力強化ネットワークセッション
大学の競争力強化のための利益相反マネジメント
個人レベルから組織レベルまで
AFP=時事
国立大学が法人化した2004年頃を境に、大学教員の産学連携活動が教育・研究の利害と対立する場合の管理方法として、米国大学などで実施されてきた利益相反マネジメントが大学として検討されるようになりました。日本でも医学系分野などを中心に、多くの大学で、教員の利益相反マネジメントの実践が試みられてきています。最近では、ベンチャーへのライセンスの対価としてストックオプションとして受領することや、大学法人自身が研究成果の事業化のための出資が一部可能になるなどの背景から、従来の教員個人レベルの利益相反マネジメントに加えて、組織レベルでの利益相反マネジメントも必要になってきています。
本セッションではこのような背景から、関心が高まっている利益相反マネジメントについて「個人レベル」から「組織レベル」までの射程で議論をおこないます。どのような考え方で、具体的な実践方法が有益なのかについて学ぶために、利益相反マネジメントの長い経験を有する米国ハーバード大学のChief Research Compliance OfficerのAra Tahmassian,博士の基調講演、および有識者からなるパネル討論を行います。
【日時】 | 2014年9月17日(水) 14:15-17:30 |
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【場所】 | 北海道大学学術交流会館 大講堂 |
【主催】 | 文部科学省「リサーチ・アドミニストレーターを育成・ 確保するシステムの整備」事業採択機関 (主幹校:北海道大学) |
【支援】 | 大学研究力強化ネットワーク/自然科学研究機構 |
【協力】 | 東京大学政策ビジョン研究センター |
プログラム
14:00-15:45 | 基調講演 Managing University Technology Transfer and Conflicts of Interest
講演者 Ara Tahmassian 博士(ハーバード大学 the University Chief Research Compliance Officer) 司会と解説 小野奈穂子(Lerner David Littenberg Krumholz & Mentlik,米国弁護士、日本法学博士) | |
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16:00-17:30 | パネル討論
モデレーター 渡部俊也(東京大学政策ビジョン研究センター教授、工学博士) パネラー 江戸川泰路(新日本有限責任監査法人パートナー・公認会計士) 棚橋元(森・濱田松本法律事務所、弁護士) 西尾好司(富士通総研主任研究員) |
Ara Tahmassian, Ph.D., is the University Chief Research Compliance Officer. In this role, Dr. Tahmassian is broadly responsible for the oversight of the review, development, and implementation of policies related to research compliance activities across the University. Additionally, Dr. Tahmassian works toward the overall effort to manage potential risks at the University by integrating and coordinating the significant compliance requirements across the University.Prior to being named University Chief Research Compliance Officer at Harvard, Dr. Tahmassian was the Associate Vice President for Research Compliance at Boston University and Boston Medical Center, responsible for maintaining a research environment that promoted integrity and ethical behavior and that abided by the regulations and requirements established by the federal, state, and local funding agencies. Dr. Tahmassian also served as the Principal Investigator for the core BSL-3 select agent laboratory and as one of the Associate Directors of the National Emerging Infectious Diseases Laboratories (NEIDL) at the BU Medical Campus.Dr. Tahmassian holds a B.Sc. in nuclear engineering and a Ph.D. in radiobiology from Queen Mary College, London University, and is a Diplomat of the American Board of Sciences in Nuclear Medicine.
討論のトピックス(候補)
- 何故組織レベルでの利益相反の検討が必要なのか、大学自身が決定するICOIポリシー
- 米国での状況(歴史的経緯、組織としての産学連携への関与、メディカル分野を中心とする事例、米国における組織としての利益相反マネジメントの仕組み)
- 日本の大学で想定される組織的利益相反の類型、部局や大学レベルでの産学連携関係、組織レベルの教育研究の意思決定に関与する産学連携スキーム、ロイヤリティー対価としての新株予約権等の保有、特定研究成果活用支援事業、理事の兼業等)
- 対応策(株式等保有に関わるコンプライアンス、大学法人の株式等保有の注意点と論点、組織レベルの利益相反マネジメントの仕組み、組織的利益相反委員会、情報公開、取引制限、担当すべき部門