政策提言の方向性について
2009/01/19
政策ビジョン研究センターでは、2008年10月に本格的に活動を開始して以来、既にHPで報告してまいりましたように、6つの研究ユニットを立ち上げ、政策提言に向けて研究を進めています。
現在の世界は急速な経済情勢の悪化にみられるように、多数の深刻な課題に直面しており、それらにタイミングを失することなく取り組むことが必要です。科学的なエビデンスに基づく政策提言を行うことを使命とする政策ビジョン研究センターでは、鋭意それらの課題について提言の準備を進めておりますが、このたび、その第1弾として、わが国が直面している最大の、しかも長期的な課題である高齢化社会に関して東京大学が行っている研究の成果の一部を、「政策提言の方向性」として発表することにいたしました。
少子高齢化、人口減少は、わが国の将来に大きな変化をもたらしますが、その課題は、多くの場合、増加する医療費や社会保障負担の問題、地域医療の崩壊の問題として論じられています。それに対しては、社会保障費の抑制や少子化対策、医師の増員等が主張されていますが、現在の仕組みや考え方を維持したままでは、状況が改善する可能性は少ないといわざるをえません。しかし、発想を変えると、わが国には、まだ利用されていない人的、知的資源が多数あります。視点を変えて、それらを活用するならば、「安心して暮らせる活力ある長寿社会」の実現も決して不可能ではないと考えます。
当センターでは、こうした考えの下に、今後、東京大学で実施されているジェロントロジー寄付研究部門等での研究成果を踏まえて、医療福祉はもとより、交通、都市・住宅、地域コミュニティ、法的保護等の制度に関する提言を順次行っていく所存です。当初は、医療システムに関する政策提言を行う予定でしたが、今回は、その全体像の概要を「提言の方向性」として発表しました。各方面のご意見を期待しています。
政策ビジョン研究センター長
森田 朗