気候工学(ジオエンジニアリング)の国際的な議論形成においてアジア太平洋地域が果たす役割

2017/6/22

気候工学(ジオエンジニアリング)は、新たな地球温暖化対策として注目されつつある一方で、これまでにない環境リスクや社会的・政治的な問題をもたらす懸念があります。屋外実験の実施をめぐっては科学者の間でも大きな論争があり、今後の気候工学ガバナンスを考える上では、推進・反対のどちらの立場にしても、国際的な枠組み作りが不可欠です。これまでの気候工学をめぐる議論は主に欧米主導で進められてきましたが、当該枠組みを構築するためには、気候変動リスクに脆弱な国々や人口規模が大きく経済成長著しい国々が含まれるアジア太平洋地域が、気候工学ガバナンスの国際的な議論形成に積極的に関わっていくことが重要です。本稿では、著者らがアジア太平洋地域の専門家らを招待して2016年3月に東京で開催したワークショップの議論を基に、気候工学の科学・公衆関与・ガバナンスに関連した、当該地域における有意義な国際研究協力のあり方について議論しました。気候変動の影響評価と相乗効果のある、気候工学のリスクと便益のモデル評価研究の実施や、当該地域の専門家らによるアドホックな作業部会の設立、アジア太平洋の社会的・文化的な背景に即した公衆参画の検討の必要があるとの結論を得ました。

発表雑誌

雑誌名:Climatic Change (2017年6月4日)
論文タイトル:The Asia-Pacific's role in the emerging solar geoengineering debat
著者:Sugiyama, M., Asayama, S., Ishii, A., Kosugi, T., Moore, J. C., Lin, J., Lefale, P. F., Burns, W., Fujiwara, M.,Ghosh, A., Horton, J., Kurosawa, A., Parker, A., Thompson, M., Wong, P.-H., & Xia, L.
DOI番号: http://doi.org/10.1007/s10584-017-1994-0
記事URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10584-017-1994-0