生命・医療倫理政策研究ユニット

設置日:08/12/18


Photo by AP/AFLO

趣旨

ライフサイエンス・医療技術の発展が社会に与える影響はますます大きくなっているが、日本ではそこで生じる倫理的・法的・社会的諸問題を政策的課題として検討する基盤が脆弱であるとの指摘が長らくされてきた。本ユニットでは、グローバルCOEにおいて展開されているライフサイエンス・医療に関する国際的視野からの政策検討の成果を広く社会に発信する活動を行うことを目的とする。

内容

クローン技術、再生医療、脳科学、ヒトゲノム研究や、急増する海外共同治験などの国際的共同研究、また終末期・生殖補助医療、移植医療などによって次々と生み出される倫理的・法的・社会的諸問題(ELSI問題:ethical, legal, social implications)への対応は、日本の科学・研究者界が社会の中に位置し、かつ社会に対して責任ある地位をもつ点からも、喫緊の課題である。

主要先進国において、20世紀後半から、自らの発議と調査能力、正当性を備えた「国家生命倫理委員会」を行政または議会に設置する事例が増えている。グローバルCOEは試みの一つとして、上記の委員会のもつ政策活動についての機能や可能性の検証として、上記のライフサイエンスおよび医療における現代的課題について学際的に研究し、かつ日本の将来に資する取り組みを目指す、対社会発信型の「生命・医療倫理」の成功事例の実現を目指している。

本研究ユニットでは、グローバルCOEおよび関連教員において展開している活動について、東京大学、研究者としての社会的責任を果たす観点から、日本が直面しているテーマについての現状の分析、検討素材の提供、議論の喚起を行い、アセスメントにもとづいた論点整理・提案についての情報提供を行うと共に、学際的な政策研究の交流の場となることをめざす。

責任者

赤林 朗教授(医学系研究科)

ユニット構成メンバー

秋山 昌範教授(政策ビジョン研究センター)、井上 悠輔助教(グローバルCOE「次世代型生命・医療倫理の教育研究拠点創成」)