医療分野
内容
医療分野では、従来HTA(Health Technology Assessment)として知られる独自のTA活動が諸外国で行われています。その活動には、技術の有効性や安全性の評価、医療経済的な分析、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の検討があり、特に前者2つの機能は個別技術について承認や保険収載という政策決定の前提となっており、技術の有効性や安全性の評価の評価手法や評価体制が各国で確立しています。医療分野のTA実証研究では、医療技術研究開発プロジェクトと協働し、日本でのHTAの制度化を念頭においた研究活動をすすめています。
ナノバイオファーストプロジェクト社会還元部門との連携
ナノバイオファーストプロジェクトは、最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム) のひとつで、がんの早期発見・精密診断や、抗がん剤を患部に選択的に送り込む副作用の低いピンポイント治療を可能とする画期的技術を世界で初めて確立することを目指すプロジェクトです。このプロジェクトでは、開発された技術や製品の迅速な社会導入に向けた活動を推進し、開発された技術・製品が医療・社会システム全体に及ぼす影響を評価・検討する社会還元部門を設置しています。この社会還元活動とTA実証研究ユニットの協働により、医療技術の研究開発段階からの社会との接点を探っています。
医療分野におけるイノベーションの社会・経済評価研究会
この研究会は、技術革新が進む今日の医療にあって、イノベーションを社会的・経済的にどのように評価し、どのように医療に組み入れて行くのかについて、関係する諸分野の専門家との討議を通じて検討するものです。TA実証研究ユニットと東京大学公共政策大学院「医療事故のリスクマネジメント講座」が協同で開催しています。この研究会は、毎月1回、講師としてゲストスピーカーを招いて、医療保険制度などを含む医療制度全般において、どうすればイノベーションを促進することができるのかについて議論しています。政策ビジョン研究センターのTA実証研究ユニットは、医療分野におけるテクノロジーアセスメントの実践という見地から、この研究会に協力しています。