大学の特許を考える会@東京大学の開催について
09/09/04
研究会設置の趣旨
大学は、豊富な研究リソースを有しており、イノベーション創出の担い手として期待されている。燃料電池や太陽電池といったグリーンテクノロジー、医療技術はその代表例である。これまでに、TLOや大学知財本部の設置等、大学で創出された研究成果を知的財産として権利化し、それを企業等で活用するための体制整備が着実に進められてきている。また、特許庁では、従来から大学に対し知的財産制度や施策に関する情報提供等を行ってきており、研究者の特許取得マインド及び特許制度に対する理解は向上しつつある。
我が国の特許制度においては、現在は、現行特許法施行50年の節目の時期に当たる。特許庁では、「特許制度研究会」を設け、特許制度のあり方について幅広い検討を行っているところである。今後、研究者の特許制度に関する理解を深め、円滑な権利の取得と活用をサポートするとともに、研究者の知見を取り入れ、イノベーションの促進に資するよりよい特許制度を構築していくためには、第一線の研究者を含む大学関係者と特許庁関係者が直接意見交換を行う機会を設けることが有意義である。
具体的な研究会の進め方
具体的な仕掛けとしては、2009年6月11日に開催された東京大学及び京都大学の合同国際シンポジウム「イノベーションにおける競争と協調−次世代の特許制度を考える−」の成果を踏まえ、大学関係者と特許庁関係者による研究会「大学の特許を考える会(仮称)」を、東京大学を含め幾つかの大学について個別に創設することとされた。
研究会において、意見交換を重ねることにより、特許制度に対する相互理解が深まり、また、研究者の知見を、今後の特許制度の見直しに反映させることによって、イノベーションの促進につながるよりよい特許制度の構築とその活用が促進されるものと期待される。
東京大学における開催
特許庁と東京大学との第1回の研究会を9月4日、東京大学アントレプレナーシッププラザにおいて開催した。特許庁側から、「特許制度研究会」における検討状況について紹介があり、また、東京大学側からは、東京大学における産学連携や知的財産管理の現状の説明と産学連携に活性化に向けた提言があり、その後、議論を行った。
主な議論のテーマは、学術研究に関する競争の激化やスピードの加速と特許制度、仮出願制度の効果や導入の是非、第30条(発明の新規性喪失の例外)の適用拡大の必要性、学生が行った発明の扱い(特許法第35条関係)であった。今後、本研究会を継続して開催していくこととされた。
東京大学側メンバー
影山和郎 産学連携本部長、工学系研究科教授 | |
小蒲哲夫 産学連携本部 知的財産部長/教授 | |
山本貴史 ㈱東京大学TLO代表取締役社長 | |
渡部俊也 先端科学技術研究センター教授 政策ビジョン研究センター 知的財産とイノベーション研究ユニット 代表者 | |
中村義一 医科学研究所教授 | |
須田義大 生産技術研究所教授 | |
元橋一之 工学系研究科教授・技術経営戦略専攻長 | |
杉光一成 政策ビジョン研究センター シニア・リサーチャー 金沢工業大学教授 | |
坂田一郎 政策ビジョン研究センター兼工学系研究科教授 | |
事務局 | 佐々木一 政策ビジョン研究センター客員研究員 |
事務局 | 村上壽枝 政策ビジョン研究センター特任専門職員 |