活動報告

ワシントン大学医学部長の表敬訪問

2010年4月2日、ワシントン大学医学部長のラリーJ・シャピーロ教授(Larry J. Shapiro)が当センターを表敬訪問しました。ワシントン大学医学部(Washington University in St. Louis, School of Medicine)と言えば、全米の医学部の中で常にトップ3の地位にあることで有名です。

シャピーロ教授は、4月1日から東京大学を訪れ、まず経済学研究科長の吉川洋教授と面会されました。4月2日は、政策ビジョン研究センターで森田朗センター長との会談、東京大学大学院医学系研究科長の清水孝雄教授、前医学系研究科長の廣川信隆先生(現在は、大学院医学系研究科・分子細胞生物学専攻および総合文化研究科・生命科学構造化センター特任教授)、東京大学医学部附属病院長の武谷雄二教授、そして同副院長の五十嵐隆教授との面会の後、政策ビジョン研究センターの森田朗センター長と坂田一郎教授を交えて、松本洋一郎理事・副学長と田中明彦理事・副学長を表敬訪問しました。最後にシャピーロ教授が面会されたのは、公共政策大学院の林良造教授です。

以下、シャピーロ教授の紹介、表敬訪問の概要、最後に政策ビジョン研究センターでの会談の概要について説明します。

訪問者の紹介

医学部長のラリー・J・シャピーロ教授(M.D., Distinguished Professor Executive Vice Chancellor for Medical Affairs and Dean, Washington University School of Medicine)は、遺伝学、分子生物学、生化学の研究者として著名な方で、医学部長に就任される前にはカリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部で小児科学講座を担当されていました。現在は、医学部長兼ワシントン大学の東大担当親善大使を務められています。

シャピーロ教授は、アメリカ科学アカデミー医学会(National Academy of Sciences' Institute of Medicine)の会員の1人であり、他のいくつかの学会の学会長を務められています(American Society of Human Genetics, the American Board of Medical Genetics, the Society for Inherited Metabolic Diseases, the Western Society for Pediatric Research, and the Society for Pediatric Research)。

シャピーロ教授は、ワシントン大学の学部およびメディカル・スクールをご卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校や同サンフランシスコ校医学部で研究に従事されました。

表敬訪問の概要

今回の表敬訪問では、東大担当親善大使就任のご挨拶、ワシントン大学の奨学金プログラム(McDonnell International Scholars Academy Program)の説明、そして学術研究上の交流拡大の可能性について話し合われました。ワシントン大学の奨学金プログラムについては、当センターの別ページをご参照下さい。

政策ビジョン研究センターでの会談

少子高齢化社会を見据えた医療政策研究の重要性などが話し合われました。アメリカでは、医療保険改革の関連法案が連邦議会で可決成立し、医療へのアクセスを拡大させることが今後の急務となるわけですが、それは医療のコストと質の問題を解決するどころかより重要な課題にするものです。他方、わが国でも少子高齢化が急激に進むなかで、どうやって医療へのアクセス、医療のコスト、そして医療の質のバランスを実現するのかが問われています。クリニカルデータを利用した医療の有効性を比較する研究(comparative effectiveness research)などは、課題解決の第一歩として極めて大きな役割を果たすものと考えられます。

なお、ワシントン大学医学部では、テーラーメード医療をはじめとする高齢化に関連する研究が、ワシントン大学医療政策センター(Center for Health Policy)では、医学者を中心として医療経済の研究が進められています。