東京大学政策ビジョン研究センター・GSDM主催講演会
第65回GSDMプラットフォームセミナー

グローバルなエネルギー需給の展望と日本及びASEANの課題

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Dr. Fatih Birol

ファティ・ビロール博士(2月17日開催シンポジウム「グローバルエネルギーの潮流」にて) 写真撮影:山下加代

開催報告

【日時】 2015年9月16日(水)15:00-17:20 (受付開始 14:30)
【場所】東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター地下2階 伊藤謝恩ホール
【言語】日本語・英語(同時通訳あり)
【主催】東京大学政策ビジョン研究センター (PARI)
東京大学 Global Leader Program for Social Design and Management (GSDM)
【後援】東アジア・アセアン経済研究センター (ERIA)

趣旨

昨年11月、国際エネルギー機関(IEA)によりWorld Energy Outlook (WEO) 2014」が発表された。原子力やサブサハラアフリカのエネルギー見通し等を主たるテーマとしたこのWEOは、世界経済の先行きや中東諸国の地政学などに関する不透明性等もあり例年にも増して注目を浴びた。WEOでは従来2030年までの展望を示してきたが、今回初めて2040年までの展望を試算しているだけでなく、ウクライナにおける紛争や中東における混乱などを踏まえてエネルギー市場に対する強い危機感も同時に示されたという特徴がある。さらに、原子力を大きな柱としていることに加え、天然ガス市場や再生可能エネルギーの状況にもしっかりした分析を行うなど日本に対するメッセージも多い。WEO2015は現在執筆の最終段階にあり、例年によれば11月上旬発表される。この次期WEOでは、COP21を控え気候変動が大きなテーマになるが、これに加えてASEANにも再び焦点を当てるようである。

一方で、世界経済の先行きが依然不透明な現在、世界の原油市場は大きな変動を見せており、このことがまた経済に大きな影響を与えつつある。アジアにおいても、中国経済の減速が明らかになってきており、インドやインドネシアなど従来順調に成長を遂げてきた経済では新政権が誕生し、早速大きな試練に直面している。このような中、ASEANにおいてはミャンマーで民主化後はじめての総選挙が予定され、いよいよASEANの経済統合(AEC)がスタートするなど、アジアにおいてもエネルギーを巡る環境は大きな転換点にある。日本においては、昨年4月の「エネルギー基本計画」を踏まえ、年末のパリにおけるCOP21への対応を踏まえつつ「長期エネルギー需給見通し」が7月に策定されるなど政策面で大きな進展が見られたところである。

本講演会では、WEOの責任者で、本年9月に新しい国際エネルギー機関(IEA)の新しい事務局長に就任したファティ・ビロール博士、上田隆之経済産業審議官(前資源エネルギー庁長官)及び東アジア・アセアン経済研究センターの西村事務総長をお招きし、直近のエネルギー動向等も踏まえ、日本の政策動向やASEANをはじめとするアジアのエネルギー面の課題について幅広い観点から議論することを企図したものである。同時に田中伸男笹川平和財団理事長(前IEA事務局長)を交えて、パネルディスカッションやフロアとの質疑応答などを通じて、日本等アジアを中心とするグローバルなエネルギー状況や政策的な含意などに関する理解を深める機会としたい。

プログラム

14:30- 受付開始
15:00 開会
15:00-15:05 開会挨拶
坂田 一郎(東京大学 政策ビジョン研究センター センター長、工学系研究科教授)
15:05-15:25 特別講演「エネルギーを巡る現状認識と日本のエネルギー政策」
上田 隆之(経済産業審議官、前資源エネルギー庁長官)
15:25-15:45 特別講演「東アジアのエネルギーの現状と展望、日本へのインプリケーション」
西村 英俊(東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)事務総長)
15:45-16:20 基調講演「エネルギーを巡るグローバルな潮流とアジア、日本へのインプリケーション」
ファティ・ビロール博士(IEA事務局長)
16:20-17:15 パネルディスカッション
パネリスト
ファティ・ビロール博士(IEA事務局長)
西村 英俊(東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)事務総長)
田中 伸男(笹川平和財団理事長、元IEA事務局長)
モデレーター
芳川 恒志(東京大学 公共政策大学院/政策ビジョン研究センター 特任教授)
17:15 閉会挨拶
城山 英明(東京大学 公共政策大学院 院長、法学政治学研究科教授)
17:20 閉会

参考リンク