東京大学政策ビジョン研究センター・GSDM主催講演会
第65回GSDMプラットフォームセミナー
グローバルなエネルギー需給の展望と日本及びASEANの課題
開催報告
ファティ・ビロール博士 写真撮影:山下加代
開催概要
【日時】 | 2015年9月16日(水) 15:00-17:20 |
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【場所】 | 東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター地下2階 伊藤謝恩ホール |
【言語】 | 日本語・英語(同時通訳あり) |
【主催】 | 東京大学政策ビジョン研究センター (PARI) 東京大学 Global Leader Program for Social Design and Management (GSDM) |
【後援】 | 東アジア・ASEAN経済研究センター (ERIA) |
開会挨拶
坂田 一郎
東京大学 政策ビジョン研究センター センター長、工学系研究科教授
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特別講演「エネルギーを巡る現状認識と日本のエネルギー政策」
上田 隆之
経済産業審議官(前資源エネルギー庁長官)
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特別講演「東アジアのエネルギーの現状と展望、日本へのインプリケーション」
西村 英俊
東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)事務総長
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基調講演「エネルギーを巡るグローバルな潮流とアジア、日本へのインプリケーション」
ファティ・ビロール博士
国際エネルギー機関(IEA)事務局長
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パネルディスカッション
パネリスト
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ファティ・ビロール博士
国際エネルギー機関(IEA)事務局長
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西村 英俊
東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)事務総長
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田中 伸男
笹川平和財団理事長(元IEA事務局長)
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モデレーター
芳川 恒志
東京大学 公共政策大学院/政策ビジョン研究センター 特任教授
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閉会挨拶
城山 英明
東京大学 公共政策大学院 院長、法学政治学研究科教授
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開催報告
9月16日、国際シンポジウム「グローバルなエネルギー需給の展望と日本及びASEANの課題」が開催された。
本シンポジウムはいくつかの意味で時宜を得たものとなった。まず、国際エネルギー機関(IEA)ファティ・ビロール博士は、IEA事務局長就任後はじめての訪日であり、その問題意識やIEAの活動方針について抱負を聞く貴重な機会となった。第二に、アジアを中心に国際的なエネルギー需給に構造的な変化がおきている。第三に、年末のCOP21を前に地球環境問題への関心が高まっている時期に開催されたことである。さらに、日本においては、「エネルギー基本計画」や「長期エネルギー需給見通し」が策定され、将来に向けてのエネルギー政策の基礎や方向性が固まったところだ。
今回はIEAファティ・ビロール事務局長の他、上田隆之経済産業審議官(前資源エネルギー庁長官)、西村英俊東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)事務総長及び田中伸男笹川平和財団理事長(元IEA事務局長)をお招きした。以下、主要なトピックごとに論点をまとめた。
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世界のエネルギー需給構造2040年までの需要を展望すると、世界を引っ張るのはインドやASEANが中心となる。中国は経済成長の減速等に伴いエネルギー需要増も鈍化する見込みだからである。一方で、供給側を見ると、これまで北米の原油及び天然ガス生産は急速に拡大した。しかし、現下の低価格により上流部門への投資が来年は大幅に落ち込み、将来の需要に対し十分な供給が確保されるか懸念される。また、今後天然ガス、特にLNGの生産は拡大を続け第一の燃料となると思われる。さらに、IEA加盟国における石油生産が拡大する一方で、本来原油輸出国であるOPECの石油消費が増加するなど、伝統的な消費国と生産国との関係が変化しつつあることにも注意が必要である。
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エネルギー安全保障石油価格が下がると、エネルギー安全保障に対する関心も同様に低下する傾向がある。しかしながら、中東における地政学的な課題などは、直ちに解決されるような性質のものではなく構造的となっている。このためエネルギー安全保障は引き続き重要な課題であることに留意する必要がある。
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地球環境問題今年はCOP21が年末にパリで開催される。政治的には昨年11月米中首脳が地球温暖化ガス排出に関して歴史的合意をしたが、実際にもこれまでに発展途上国を含む多くの国がINDC (地球温暖化ガス削減に関して「各国が自主的に決定する約束草案」、Intended Nationally Determined Contributions)を国連に提出している。加えて、この分野で希望的な兆候も見られる。例えば、CO2排出増の勢いは安定化しつつあるし、世界的に省エネや再生可能エネルギーの導入が加速している。このような地球環境問題に関する関心や動きは、エネルギーセクターに将来へのシグナルとして発せられ、その投資動向等に影響を与えている。
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人材育成ASEANにおいては加盟各国間で経済成長段階やエネルギーアクセスのレベルが大きく異なり、その意味で多様性があるが、依然人材育成が課題であるとの認識が示された。
写真撮影:山下加代