政策ビジョン研究センター年報 2011
2011年10月3日
この度、平成23年度の政策ビジョン研究センターの年報が完成いたしました。当センターとして初めて作成する年報となるため、設立年度からの3年分の内容も一部含めて作成しております。EPUBおよびPDFでの全文は以下のリンクよりご覧いただけます。なお、EPUB版では該当箇所へのリンクを120箇所ほど追記しています。当センターとしては初めてのEPUBフォーマット電子書籍の掲載になります。
EPUB 183 KB PDF 4.17 MB (60ページ)
ごあいさつ
photo by Ryoma.K
城山 英明 センター長
政策ビジョン研究センターは、総合大学である東京大学の知的リソースを統合して政策研究を行い、その成果を社会に発信していく目的で2008 年7 月に創設されました。社会の多様な課題と、科学技術研究や人文社会科学研究の最先端研究を突き合わせて、充分なデータと論理に基づいた、課題の分析と解決のための政策の選択肢を提示する、それが第一のミッションです。そしてそれらの研究成果を一般の方々にも理解でき、現実の社会の改善に結びつくような形に加工して発信すること、これが第二のミッションです。
最近、政策形成プロセスの透明化が進み、従来人々の目に触れることのなかった政策決定プロセスが注目を集めています。そのことが同時に実質的な政策判断の基準や根拠に対する疑問を、世に投げかけることにもなりました。エビデンスに基づいた政策の立案、および政策の優先順位を規定する論拠が求められるようになっています。まさに十分なデータと緻密な論理に基づいて、多面的観点から行われる政策議論というニーズは、時代の要請とも言えます。
そうした議論をわかりやすく伝えるインタープリターの役割も重要です。多様な情報を構造化して提示することによって問題点を明確にし、政策・制度や技術社会システムの多様な便益とリスクをバランスよく評価して、社会意思決定にフィードバックするメカニズムが、今まさに求められていると思います。政策の選択肢(Policy Alternatives) を研究するセンターとして、今後とも多様な研究の現場と社会をつなぐ橋渡しとなり、研究者間はもちろん、民間企業、メディアやNPO といった様々な民間機関の方々とも連携しながら、新しい政策の選択肢を提示できるよう努めてまいりたいと思います。
現在、当センターでは、高齢社会、医療情報、医療機器、知的財産権とイノベーション、技術ガバナンス、航空政策といったテーマ毎に研究ユニットが発足し、それぞれの課題に応じた研究会やシンポジウムを通して研究成果の発信をしています。今後、ホームページやニュースレターをはじめ、様々な媒体を使って政策の研究・提言活動を展開していくつもりです。学内において社会への政策発信の必要性を感じれておられる方や、学外から東京大学のこのような活動に関心を持たれている方のご支援・ご協力をお願いします。