政策ビジョン研究センター1周年記念フォーラム
09/11/25更新 version3.0
政策ビジョン研究センターの1周年記念フォーラムを、10月28日、工学部2号館大講堂にて開催いたしました。当日は約250人の参加者を迎え、盛況の内に終了することができました。
当日配布資料:パンフレット センター概要 研究ユニット一覧
オープニング
森田朗 政策ビジョン研究センター長
本日は、政策ビジョン研究センターの一周年記念フォーラムに、ご出席いただきありがとうございます。政策ビジョン研究センターも本格的な活動を始めて1年が経ちました。この間の皆様のご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。
わが国では、政権交代が起こり、大きな変化が起こりつつあります。季節は、政権をめぐる「政治」の季節から、直面する課題に取り組む「政策」の季節に移ってまいりました。環境問題にせよ、高齢化問題にせよ、わが国が直面する課題そのものは、政権が変わっても変わるものではありません。そのような課題に取り組み、解決のための最善の選択肢を提言するという仕事はますます重要になってきているといえます。
東京大学は、多数の優れた人材を擁し、多様な先端的な研究を行っています。その成果を、諸課題を解決するために活用し、社会に貢献することも大学の重要な役割であるという認識から、小宮山前総長の発案で創設されたのが、政策ビジョン研究センターです。
当センターの使命は、学内の多様な研究を統合し、政策の選択肢を提言として社会に発信していくことです。この1年の間、私たちは、その使命を果たすべく努めてまいりました。本日は、その成果をご報告するとともに、これから社会の政策課題を解決するために当センターが、そして大学が、どのような役割果たしうるか、また果たすべきかについて、議論していきたいと考えています。限られた時間ですがご参加いただき、今後とも、当センターの活動についてご支援やご意見をいただければ幸いです。
基調講演 「大学からの政策発信」
濱田純一 東京大学総長
民主主義社会における大学の学術は、その本領というべき純粋な、突き詰めて考え抜く力を、社会から隔離された状態で育むのではなく、むしろ積極的に社会とかかわることによって鍛え上げ、成長させていくべきものと考えています。
政策ビジョン研究センターのスキームである「政策発信」は、大学の公共的な機能の表現であるとともに、大学の学術の強化にもつながるものです。
政策研究に欠かせない、選択肢の立案とエビデンスによる裏打ちは、きわめて具体的な作業であり、学問分野の境界を超えた作業となります。東京大学は総合大学として、学際性を発揮していくために、まことに恵まれた環境をもっています。政策判断の合理性に注意と敬意が払われ、情報公開が十分になされる社会的条件下では、大学は、その学術的な自立性と柔軟性を生かして、大胆に、また素早く、「確かなエビデンスに裏付けられた政策の選択肢」を発信していくことが可能です。
個別具体のケースの扱いこそ、政策研究の本領であり、醍醐味ですが、このような個別具体の政策研究を数多く丁寧に積み重ねていく中で、見えてくるもの、あるいは、「見えるべきはずのもの」があります。それらは具体的なケースの中で鍛えられ、再度抽象化されて、一般性を備えた政策研究の枠組みとなっていくでしょう。
それとともに私が期待したいのは、個別の課題テーマを越えた「時代の政策」とでも呼ぶべきもの、つまりこれからの時代の姿を形造っていく政策カタログが見えてくることです。
これからの社会がどうなるのかと、多くの人々が不安を抱いている現代のような危機の時代にこそ、知識の創造的な役割、大学の果たすべき役割は大きくなります。政策ビジョン研究センターの研究成果の発信は、そうした時代の課題に、とりわけ、医療や高齢化、地球環境など、早急な対応が社会から求められている課題に、しっかり応えてくれるはずです。
言うまでもなく、こうした役割は、東京大学だけで果たせるものではありません。社会の知とのインタラクションが必要です。本日の議論を通じて、そうした大学の知と社会の知の連環の仕組みやセンターの取組みの方向性などについて、さまざまなご示唆をぜひいただければと思っています。
政策ビジョン研究センター 研究成果紹介
センターの全体ビジョン/坂田一郎 教授
政策ビジョン研究センターでは、学の世界における「知の爆発」と「細分化」を踏まえ、各分野の知識を抽出し、融合・統合させ、政策の選択肢を提示するための各種プロジェクトを進めている。具体的には、高齢社会・医療政策、イノベーション、グローバルの3つの重なり合う大きな政策領域を研究している。一番大きな領域は高齢者・医療領域であり、高齢者標準の社会をつくるという提言の下、ジェロントロジー、市民後見制度、医療機器の安全性ガイドラインなど多くの問題に取り組んでいる。また、イノベーション領域では、知的財産権に関する制度改革の必要性などを研究している。当センターでは、これら政策領域間の相互の連関、融合を重視しながら大きな課題の解決に貢献していきたいと考えている。
高齢者・医療情報/秋山昌範 教授
現在は成熟化社会となり、個々の価値観にばらつきが大きくなったが、ITは政策提言に必要なサンプリングの自動化、同時性を高めることから、サンプル誤差の縮小という可能性を有している。
一方で、未だ議論途上であるのは、人々のニーズに応じた情報の見せ方をする「知の構造化」の部分である。1つのファクトに対して、鳥瞰的な見方、個々の立場からの見方ともに重要であり、こうした関与者全ての連携を図ることがICTの新たな役割である。これは医療分野においても同様であり、これら手法を確立することで、わが国の高齢化社会ビジョンにおける政策提言につなげたい。
- 医療におけるIT政策研究ユニット(関連研究ユニット)
知財とイノベーション/渡部俊也 教授
現在の知的財産権、知的財産システムというのは大きな課題を抱えている。知識社会が本格的に到来したことによって、知識を権利として守り、それを活用する仕組みが非常に重要になってきている。知財システムの改革の視点は、①イノベーション促進、②グローバルな視点、③ユーザーの使いやすさ、の3つである。米欧アジアの知財関係者との国際対話を推進し、アカデミアとしての意見発信を行う一方、「次世代知的財産権制度」実現のための改革課題として掲げた15の政策提言については、しっかりした実証研究の裏打ちを以て検証を続けていきたい。
北東アジアの安全保障/藤原帰一 教授 (ビデオレター)
本研究では、安全保障と経済事情の交錯に焦点を置いている。経済統合から生まれてきた色々な条件を、安全保障におけるゲームの変革につなげるために何ができるのかを考えることが今回の研究テーマである。鳩山民主党政権のもとで、東アジア共同体が叫ばれている現在、他方では、北朝鮮、あるいは中国の軍備の拡大に対してどう対応すべきかという課題も抱えている。脅威の認識が高い時には、軍事力以外の場面を、安全保障という切り口によってとらえることが避けられない一方、逆に安全保障の課題とされていたものについて、共同の解決を模索する方法もある。具体的な脅威認識の引き下げに持っていく信頼醸成がいかにして可能か検証したい。
技術ガバナンス/城山英明 教授
技術の進歩に対し、①取り残されがちな法制度をどう対応させていくか、②技術の諸影響をどう社会に提示するか、③個別の技術導入と社会システム変革をどう連携させるかなどをテーマに研究している。例えば、原子力法制は運転管理中心の時代に合っていない問題というがある。電力事業者、燃料メーカー、研究者、行政の方々などと研究会を作り、課題の洗い出しと長期的制度設計の検討を行った。また、技術の多様なベネフィットとリスクを社会にバランス良く提示し、社会的判断を促す、テクノロジーアセスメントの制度設計と手法について研究している。エネルギーや環境の分野では、住宅分野における省エネに見られるように技術と社会システムをセットで提示する必要がある。これについては、技術導入の際の普及阻害要因を取り除くための制度的手法や、開放的な政策論議のためのインフラ整備等についての提言を発表した。
航空政策/鈴木真二 教授
1909年に第一高等学校(現在の農学部キャンパス)で、日本初のグライダーが飛行してからちょうど100年、航空分野は大きく進展した。そして日本は今、半世紀ぶりの国産機開発、空港問題、航空交通管理、環境問題等大きな転換期を迎えている。本年8月、航空産業の創成と空の有効活用の達成に貢献するため、三菱重工業の寄付により、全学的な連携の拠点として航空イノベーション総括寄付講座が立ち上がった。イノベーションとは、100年前の単純なグライダーが今日に至ったように、分野横断的、国際的な連携の下に独自の歩をたゆまず進めていくことが重要なのである。
パネルディスカッション 「これからの政策形成と大学の役割」
コーディネーター
森田朗 政策ビジョン研究センター長
パネリスト
濱田純一 東京大学総長増田寛也 元総務大臣林芳正 元経済財政担当大臣・参議院議員鈴木寛 文部科学副大臣・参議院議員楠田大蔵 防衛大臣政務官・衆議院議員藤末健三 参議院議員古川俊治 参議院議員
エビデンスに基づく政策形成の必要性
森田 エビデンスに基づく政策形成に大学は大きな貢献をなしうる。一方で、大学の学問と政策の間には緊張関係も必要。実際に政策をつくっていく場合に、どういう問題点があるか。きちんとした課題の認識や分析、エビデンスに基づいた政策を作る必要性と、そこに大学が果たしうる役割について、党派を超えたご議論を頂きたい。
藤末 官僚機構がオプションを提示するというシステムが壊れない限り、二大政党制は無理。政策オプションを、長期的な観点から提示することを大学に期待したい。
楠田 これから政治任用が増えていく中で、政策立案の担い手となりうるような若い世代を養成するのも大学の役割と思う。
古川 政策提言は幅広くパッケージで行うのが実務の世界。従来の政策決定は審議会等で府省よりの学者が影響力を持っていた。しかし政治主導でやるのであれば、国会が政策提案能力を持たなくてはいけない。むしろ学者の意見を国会が実質的に法案等に取り入れるべき。
林 アメリカには法制局がなく、後で出した法が優先するため、法律をつくる手間がかからない。また、法案のキーワード検索など、インフラが非常に整備されている。日本では、議員立法の場合、法制局の権限はそれほど強くはないが、既存の法体系との整合性をチェックする必要がある。また、過去の法案や答弁データをキーワード検索することができない。最終的な法律をつくる手前のポリシーをつくるのがシンクタンクの役割。大学では霞が関と同じ元データを共有した上で、独自の観点から加工し、ポリシーの選択肢をつくって頂きたい。その際、予算の状況や法体系等の基礎知識、政策を実現するための段取りを押さえて頂くと立法過程に入りやすい。政策が正しく理解された上で選択されるというサイクルを実現するために、メディアとの連携にも取り組んでほしい。
鈴木 関係当事者のネットワークコミュニティを形成し、自律分散協調型の熟議の民主主義ができればいいと思ってきた。専門知と現場知を持った双方の関係者たちが開かれたネットワークを形成し、イデオロギー論争から脱却てし、エビデンスに基づいて熟議を行なえる環境をつくることが望ましい。政策ビジョン研究センターにはそうしたシンクネットの編集局・プラットフォームとしてアジェンダを設定し、コミュニティをオーガナイズしていただきたい。討議型意識調査(Deliberative Polling)のアプローチや、職業・年齢別など、縦横無尽のソーシャルネットワークをつくって議論し、政策をつくるような、政策形成過程の大転換をもたらすチャレンジも、是非ご一緒にさせていただければありがたいと思っている。
増田 国の場合、大学との接点は審議会だが、これが変質して官のお膳立てのようになっていた。政権交代により、我が国のシンクタンク機能が霞ヶ関のみだったところが大きく変わるチャンス。個別の事例に共通する大きな流れや長期的な視点、さらにはもっと太い、「時代の政策」を捉えて提示をしていくことが、アカデミズムの世界で大事になっていくのではないか。
本来の大学のあり方
森田 大学への強い期待が感じられた。市民が参加する中で考えていくシンクネットのコア、編集局になれという話もあった。大学のこれまでのあり方と、これからの積極的な大学のあり方を合わせて考えると、本来の大学のあり方をあらためて問題提起することになるのではないか。
濱田 政策をめぐる力や発想をどう汲み上げ、編集するかは大切なテーマ。実質的な提案が求められる一方で、一種の政策目標になる理念や、時代の感覚といった、非合理的な部分の扱い方が大事になる。決定的に正しい答えが見つけられないときには、政策形成のプロセスの方を重視する。実質的正義と同時に、こうした手続的正義を考えることが重要。
現実の政治過程と政策形成
森田 非合理なものの中にも合理的なものを見出すのが政治学。きちんとした論理に基づいてデータを解析し、ベストの解決策に到達しても、現実の政治過程ではなかなか政策として結実しない。法律のプロセスや利害調整などでずいぶん手間取ってしまう。これはどうすればいいのか。
林 そもそも有権者に外国バイアスや競争バイアス、自由貿易バイアスといった、非合理バイアスが存在している。また、手続的正義でなくてはやっていけない部分がどうしてもある。代表の概念には、マニフェストのように具体的に項目立てして実施を約束する Representative と、ここから先はお任せしますという Trust の2種がある。政策の中でも、財政や税は Representative でできるところもあるが、外交やイデオロギーがからむ部分は、手続的正義、Trust の部分になる。分野ごとに違ったものさしを当てる必要がある。
藤末 細部の最適化は官僚によってある程度行われているが、全体のコーディネーションや長期的なゴール設定は不足している。やはりきちんとした高い視野に立ち、学問的な普遍性に基づいて発信していただくのが、大学のシンクタンクの役割ではないか。
古川 審議会の中でも専門家の信念は極端に違うように、政策に上がってくるものの中には意外と対立の構造があり、何が合理で何が非合理か明らかではない分野も多い。信念に基づく問題は手続的正義に行くしかない場合が多い。ただ、多数決の原理でいった場合には、ある専門家が正解だと思ったものに解答がこない場合がある。実質的正義をどこかで尽くしていくことが本来はアカデミズムの責任、あるいは民意から切り離された国会の仕事。どこまで実質的正義を尽くした上で、最終的にできないところを手続的正義に基づいて決定していくかを議論することが必要。
バイアスへの対応と責任の所在
森田 政策ビジョン研究センターでは、イデオロギー的・手続的というよりもむしろ、内容が客観的に明らかになるような分野を重点的に手掛けてきた。一つの問題は安全、安心。専門家が客観的に見て安全である、危険の確率が非常に低いと判断したとしても、社会の方が安心をしてくれないということがある。それは理解が進めばなくなるバイアスかもしれないが、ただそれが非常に多いと、優秀な研究者が日本ではなかなか研究ができない事態も発生しかねない。政策形成過程においてどうバイアスに対応していけばよいのか。
増田 安全性は科学的に数値で表せるが、安心は非常に感情的なものであり、数値では表せない、日本人の感覚に根ざすようなもので、感じ取り方も千差万別。今までの政策選択は審議会の方針などが中心になっていたが、今はそうではなくてプロセスをオープンにする部分がある他方で、大事なところはクローズドにするという誘導プロセスになっている。つまり、本当の意味での選択肢の提示にはなっていないが、それに手続的合理性があるように見せている。一方で政策決定のときには、利益集団の力が非常に強いクローズドな世界になっており、これをどう変えていくかが課題。これからは、国民の重要な意思決定をしていく二大政党の中で、マニフェストの作り方と生かし方が問題になる。今までのように官僚がつくった閣法という形ではなく、合理性が必要な分野については、国会のオープンな場での議論できちんと修正され、結論が集約され、実行するという政策過程を形成していくことが必要。そこにお互いが最低でも二つあるいはそれ以上の選択肢を提示して、議論がまとまっていくようにすると、アカデミズムの合理的な提案と、実際の政策決定の非合理性との乖離が明らかになり、それが逆にいうと実施するときの力になる。
濱田 政治は主体が見えているが、政策は主体が本来見えていないため、政治責任という言葉はあっても、政策責任という言葉はなく、政策が誤ったときには政治が責任をとることになる。政治が責任を吸収し、政策という領域で公益性を詰めていくべき部分があるのではないか。
林 安全性と安心という点では、日本はスタンダードが高いところからスタートしている。今までタダであったものにコストがかかるということに納得がいくかという難しさがある。怒りがなるべく少なくなるように、メディアを通じての発信を工夫する必要があり、エビデンスに基づいた政策をなるべく起用させて頂くことが必要。
最後に
森田 国民にとって負担になる選択の理由を、きちんと説明して納得をしてもらうことが責任の話にもなり、最後はTrust、信任の問題になると思う。最後に一言ずつ発言いただきたい。
藤末 政治が責任をとる方法は、結局は選挙ではないかと考える。今回の選挙ではマニフェスト作成にあたり、データ不足による合理性の問題、民意を吸い上げるための手続の問題があると感じた。
楠田 選挙制度とこの国の決め方も根本的に問題。政治の信頼を取り戻すために、今まで以上に政治から国民に本来あるべき姿をしっかりと説明することが重要。
古川 医療倫理では再生医療など新しい治療法を行う際、最終的な責任を誰が取るかが問題になる。専門の当事者以外には誰も評価できない治療法だが、患者さんが同意しているから良いということで、インフォームドコンセントに全ての責任を負わせている。政党支持率が高いから、この政策は良いということになるのも同様。大学はあくまでも多数というよりは、セレクトされた民意に対して情報提供をして議論していくということを踏まえて、実質的正義を尽くせるところまで尽くして頂きたい。
林 情報には色々な非対称性がある。たとえば、諸政党のマニフェストを全部読んで理解し、比べることを有権者に求めるのは、かなりフィクションに近い。その辺は我々と有権者、そしてシンクタンクのようなところがわかりやすく見せていくことが必要。
増田 政治や政策を決定するところで起こっていることを、わかりやすく読み解いて提示する役割を果たすところが必要。そこでのやりとりが政策決定に色々と回ってくることが大事。マニフェストは基本的には、4年間の話ということにウエイトが移っていくと思うが、それを超えた長期的な高い視点は、アカデミズムがしっかりと出していくという共通認識が必要ではないか。
濱田 議員の皆さん方はある意味で選挙という手続的正義、Trustを経た上で政策決定に携わっている。そういう形で合意をして頂くことにはなるが、あまり手続的に行き過ぎてもいけない。どこまで実質的正義を尽くせるかは今後の宿題になるだろう。
森田 大学が純粋に学問を追求することを捨てて、政策に傾斜してしまうことはあってはならないが、大学のもう一つの役割として、何らかの形で政策を発信していくことは重要。しかし、大学の中の政策ビジョン研究センターの政策提言が、そのまま社会の政策になるというよりはむしろ、政策に役に立つようなエビデンスに基づいて、可能性の選択肢を示し、筋の通った提言をきちんとしていくことが必要。そこで、社会の色々なアクターに対してエディターの役割を務めることもあるかもしれないが、政策を是非政党がマニフェストに採用して頂きたいと思うようになったときには、大学の限界を超えるだろう。むしろ、客観的に政策を捉え、それぞれの政党の方が耳を傾けて頂けるようなメッセージを発するようにしなければいけない。
クロージング
松本洋一郎 東京大学理事・副学長
「政策ビジョン研究センター」を作った元々の経緯は、大学が世間から隔離されて、「超越した存在」としてあるだけでは、「知の公共性」を実現していくことにならないということがありました。ある意味で「シンクタンク」の核を多く持つ大学が、「シンクタンク」のクラスターとして社会に発信していくことが重要だということで始まりました。最近では、多くの方のご協力を得て、真の価値ある政策として、大学から発信していける状況になってきました。大学の「知」を政策として、ビジョンとして発信していくようなセンターが出来、東京大学としては、「知」を社会のために役立てていける場が構築されたと思っております。益々のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。