Japan's catastrophes - Nature strikes back

雑誌 The Economist 2011/03/17(木)

東日本大震災の日本社会への影響についてのThe Economistの記事内で、センター長城山英明教授のコメントが取り上げられました。下記に発言部分要旨を掲載します。

Japan's catastrophes :Nature strikes back - Can fragile Japan endure this hydra-headed disaster?

震災後の課題

この度の震災から、これまで休眠していた原子力エネルギーをめぐる議論が不可避となるだろう。原子力産業に対する国民の不信感は、過去からの経緯を引きずっている古い規制構造に部分的に起因していると言える。この業界は閉鎖的傾向を持っており、規制者と事業者の距離が近すぎるのが現状だ。震災以前も、内部から変化を求める声はあったが、黙殺されてきた。

同様に、陸前高田市のような漁業社会の復興に向けての日本の政策を検討することは、社会の枠組みを創造的に考える機会ともなる。被災地の住民は主に年金受給者である高齢者であり、破壊されたコミュニティを以前と同じ場所にそのまま復旧することは必ずしも適切ではない。より合理的な方法は、商店や病院が近接し、人口密度のより高いコミュニティを構築し、そこに彼らを住まわせることだろう。しかし、実際は、津波で家が破壊された人々でさえ、豊かな漁場のそばの、先祖代々受け継いできた、家族で今後守っていくべき土地を離れたがらない面もある。日本は経済問題については(厳しい財政状態であるにもかかわらず)公的資金の大量投下を合理的にというよりは直感的に行って解決しようとするので、移住を伴わずそのまま復旧が進められる可能性も高い。

このような復興や日本の将来のエネルギーのあり方に関する議論は、政治システムが党派的な停滞ではなく、建設的論議と妥協を支援することによって、容易になるであろう。



関連リンク

東北関東大震災復興に向けての6つの視点 (コラム 2011/3/28)
日本社会の高齢化と経済(The Economist東京支局長 Henry Tricks氏をお招きして) (第24回PARI政策研究会 2010/12/14)