リスクカフェ
第2回 放射線の健康リスク 専門家フォーラム報告

東京大学政策ビジョン研究センター 社会的合意形成支援研究ユニット

日時:平成26年12月21日(日) 13時〜17時
場所:コラッセ福島 会議室(福島市)

このフォーラムでは,福島県内の自治体から放射線関連の業務に携わっておられる行政担当者7名(飯館村、大熊町、富岡町、福島市、伊達市)に参加いただき,日頃感じておられる疑問を専門家に投げかけていただく形でで議論を進めました。専門家は、第1回専門家フォーラムに出席いただいた明石真言氏、甲斐倫明氏、木田幸一氏、小佐古敏荘氏に参加いただきました。

専門家への質問と議論の要約

Q1 被ばく線量はどこまで正確に把握されているのか?
⇒様々な実測値が十分線量評価に活用されていないことが指摘され、線量再構築のために測定と線量評価の専門家がしっかり議論して評価個人の線量評価に関わるべきとの意見が出されました。

Q2 「現存被ばく状況での放射線防護」が適正になされているか?
⇒専門家からは、緊急時を越えて20mSv/年を適用することは、従来の放射線防護の線量限度の考え方から逸脱しており、ICRPの「現存被ばく」の考え方は、回復期においては1から20mSv/年の中で、行政・専門家や住民が話し合って、状況に応じて段階的な改善策を実施する、1から10mSv/年の幅でできるだけ下を目指すことである、との見解が示されました。しかし、自治体からは、住民がばらばらに避難している状況下で、時間の経過とともに住民の意識も変化し、20mSv/年ですべての施策が動いている実態が示されました。自治体ごとに汚染状況が異なる実情からも、地域ごとの事情を反映したガイドラインが必要であり、それには福島県の決断が必要との意見も出ました。

Q3 健康影響の把握とそのケアは十分になされているのか?
⇒自治体からは、専門家に対する根強い不信感が語られました。一方、専門家からは、線量評価がしっかり行われないままで健康調査が先行することへの懸念も出されました。「事故直後の初期のデータを吟味した上で、それぞれの地域での障害線量をだし、住民一人ひとりにそれをしっかり説明して防護につなげていくことに責任をもつ人が存在しないという、リスク管理体制の不備が明らかにされました。

議事録と資料