国際シンポジウム
『食品安全国際規格(コーデックス委員会)のあり方—ヨーロッパの視点から』
開催報告

開催概要

【日時】 2015年9月12日(土) 10:00-12:10
【場所】 東京大学弥生講堂 セイホクギャラリー(東京大学農学部内)
【言語】 日本語・英語(同時通訳あり)
【主催】 厚生労働科学研究費補助金「国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究」
東京大学政策ビジョンセンター
東京大学公共政策大学院
【後援】 農林水産省

プログラム

司会進行:松尾真紀子(東京大学公共政策大学院、政策ビジョン研究センター特任研究員)

開会挨拶
豊福肇(山口大学 共同獣医学部 教授)
基調講演 1 「Codex activity in EU」
Eva Maria Zamora Escribano Eva Maria Zamora Escribano
Deputy Head of Unit for Multilateral International Relations, European Commission Directorate-General for Health and Food Safety/ 欧州委員会 保健衛生・食品安全総局
発表資料
基調講演 2 「Codex and WTO, from EU perspective」
Ella Strickland Ella Strickland
Head of Unit for Multilateral International Relations, European Commission Directorate-General for Health and Food Safety / 欧州委員会 保健衛生・食品安全総務総局
発表資料
基調講演 3 「Codex from international perspective」
Jerome Lepeintre Jerome Lepeintre
Minister Counsellor in charge of Health and Food Safety issues, EU Delegation to China and Mongolia / 在北京欧州連合代表部
発表資料
パネルディスカッション
モデレーター:
松尾真紀子(東京大学公共政策大学院、政策ビジョン研究センター特任研究員)
登壇者(敬称略):
Eva Maria ZAMORA ESCRIBANO(基調講演者1)
Ella STRICKLAND(基調講演者2)
Jerome Lepeintre(基調講演者3)
辻山弥生(農林水産省調査官、コーデックス副議長)
豊福肇(山口大学 共同獣医学部教授)

開催報告

2015年9月12日(土)東京大学弥生講堂 セイホクギャラリー(東京大学農学部内)にて、国際シンポジウム『食品安全国際規格(コーデックス委員会)のあり方-ヨーロッパの視点から』を開催した。

本シンポジウムは、日本にとってのコーデックスへの取り組みの検討に資するよう、EUの食品安全の担当者から、EUにおけるコーデックスへの取り組み等を紹介してもらうことで、コーデックスに関する理解を深めるとともに、議論を共有する場を提供することを目的として開催した。背景には、コーデックスにおける交渉でも重要なアクターであるEUが、どのような視点でコーデックスをとらえているのか、コーデックス対応がどのように構築されているのか、を理解することは、国際食品規格策定のプロセスを理解する上でも、日本のコーデックス戦略を考えるうえでも重要なためである。

シンポジウムでは、まず、欧州委員会保健衛生・食の安全総局(Directorate-General for Health and Food Safety)ユニットG6(多国間国際関係)の次長のMs Eva Maria Zamora Escribanoより、「EUにおけるコーデックスの活動(Codex activity in EU)」と題する発表をいただいた。講演の中では、EUのコーデックス対応・戦略の形成プロセス、その際に考慮される重要事項、異なる加盟国間の利害調整の課題、について論じたうえで、現在コーデックスで議論になっている、コーデックス作業管理についての欧州の視点を論じていただいた。

続いて、欧州委員会保健衛生・食の安全総局(Directorate-General for Health and Food Safety)ユニット長のMs. Ella Stricklandより、「コーデックスとWTO、EUの視点から(Codex and WTO: an EU perspective)」を発表していただいた。コーデックスとWTOとの関係性について論じたうえでEUが関連した具体的事例として、ホルモン牛紛争のケースとイワシのケースについて論じていただいた。最後に、在北京欧州連合代表部のMr. Jerome Lepeintreより、「国際的な視点から見たコーデックス-現在と将来の課題(Codex from International Perspective - Current and Future Challenges)」を発表していただいた。コーデックスを国際的な視野からとらえた場合に、今後新たに直面しうる問題とコーデックスの役割のあり方について論じていただいた。

続くパネルディスカッションは、上記基調講演者に加え、辻山弥生氏(農林水産省調査官、コーデックス副議長)、豊福肇氏(山口大学 共同獣医学部教授)がパネリストとして参加し、東京大学松尾真紀子の進行により行われた。講演者間での意見交換のあと、国内規制と国際規制のあいだの整合性を図るためのEUにおける対応(科学的エビデンスの確保のあり方)や、食品安全分野における新たな課題におけるコーデックスの役割、コーデックスにおけるコンセンサス形成のあり方等について議論がなされた。会場からも活発な質問があり、時間を延長して議論が行われた。当日は約60名の参加があった。

(文責:松尾)