【新NEDO社会連携講座(知的資産経営研究講座) | Intellectual Asset-Based Management Research and Education Program】企業の保有する特許や技術ノウハウなどの知的資産が、その企業の競争力や収益につながるためには、競争力の源泉であるクローズ領域と、技術のブローバルな普及のためのオープン領域を適切に切り分けたしっかりした企業戦略が必要です。本講座の活動は、これらの企業の知的資産マネジメントの具体的実践についての研究、及び、新興国等における知財・標準・イノベーションに関する研究を行い、その成果を、東京大学における教育に生かしていくことと同時に、公開講座等を通じて広く社会への普及を図っていくことを目的として行われています。

2010年度 東京大学イノベーションマネジメントスクール(TIMS)
〜プロイノベーション時代の事業を知的資産経営から構想する〜

シラバス

概要

「プロイノベーション時代における、イノベーション・競争力強化に資する事業戦略と(標準化を含む)知財マネジメント」に焦点を合わせ、技術、知財、ビジネスモデルの三位一体戦略を立案する人材の基盤を育成する、半年間の集中人財育成事業を実施します。

学習内容

このスクールで学ぶことにより、

  • (1)プロイノベーション時代という時代認識に基づき、「製品・サービス特性(アーキテクチャ)」「ビジネスモデル」「知財マネジメント」を相互に有機的に結びつける三位一体経営によって、「市場拡大」と「収益確保」を同時達成できるような事業戦略の構築について、その基礎を学び、応用を検討できる基盤を培えます。
  • (2)特に、その戦略の具現化を可能ならしめる「権利化と秘匿化」「公開と条件付ライセンス」「標準化によるオープン」「ブラックボックスによるクローズ」等の使い分けなど、新時代の知財マネジメントの基礎を学び、応用を検討できる基盤を培えます。
  • (3)これらを通じて経営幹部候補生に必要な知的基盤能力(気づき・学び・考える)を開発する起点を設定できます。
形態・方法

【教育学習モデル 「学習支援」と「互学互修」】

単なる一方的な知識習得ではなく、「考えるために知識を習得し、知識を使って考える」ことを志向します。受講生の「気づき・学び・考える」能力開発を前提として、受講生間・受講生と講師間の「学び合い・教え合い」を基本とし、コンセプトやモデルを具体的に案件に則して活用する思考力を開発します。つまり、議論を通じて「考える力」を育成ことを主眼におきます。以下が毎回の授業のプロトタイプです。

  • (1)ワークショップ&セッション形式を主体とした授業(90分2コマ/回)。
    (事前)
    事前課題によるウオーミングアップ(レポート事前提出)
    (当日)
    提出されたレポートを踏まえた、講師による問題提起・講義45分
    (当日)
    各自のレポートを基にしたグループ討議と論点抽出45分
    (当日)
    グループからの論点提起と講師采配によるクラスセッション60分
    (当日)
    講師による整理と省察30分
    (後日)
    事後課題と講師による採点・コメントとフィードバック
  • (2)自主研究。
    (事前)
    研究課題を設定し、授業を通じて学んだことを基盤に調査・研究
    (最終)
    各自「卒研報告」として発表、学習成果の確認
  • (3)これらとは別に、始業式、修業式等を行います。
受講生
(対象・履修条件)

以下の者を中心に全体で20名+α程度を予定しています。

  • 企業において新規事業立案を担当する(シニア)マネージャー、それらを支援する関連分野の専門職等。
  • 企業の知財部門や研究開発部門の(シニア)マネージャーで、今後、より事業企画関連の業務に携わろうとする者。
  • これらに関連する中央官庁の政策関係者、大学関係者、公的研究機関の者。
  • 関連する弁護士・弁理士、ジャーナリスト等も含みます。

(なお経営一般の基礎知識を前提としますが、応募時点での知財マネジメントに関する予備知識は必要はありません。)
(30歳代から50歳代まで、平均40歳程度になることを想定しています。ちなみに2009年度の平均年齢は39歳でした。)
受講生には、事業戦略と知財マネジメントに必要な基礎的な関連知識とスキルならびにマインドの修得を真摯に望む問題意識と態度、かつ一般的な基礎学力と知識・教養等が求められます。

募集方法

応募情報ページをご参照ください。

講師陣
(五十音順)
【講師】
  • 小川紘一(知的資産経営総括寄附講座 特任教授)
  • 各務茂夫(産学連携本部 教授)
  • 新宅純二郎(経済学研究科 准教授)
  • 妹尾堅一郎(知的資産経営総括寄附講座 特任教授)
  • 立本博文(ものづくり研究センター客員研究員、兵庫県立大学 准教授)
  • 元橋一之(工学研究科技術経営戦略学専攻 教授)
  • 渡部俊也(先端科学技術研究センター 教授)

印:実施責任者)

【協力教員・研究員】
  • 数名を予定
【事務局】

會田まり(知的資産経営総括寄附講座)
電話:03-5841-0397 FAX:03-5841-0399
所在地 東京大学本郷キャンパス薬学部本館6階607号室

スケジュール・
内容

2010年09月〜2011年2月(予定)
原則毎週水曜夜(18:30〜21:45)
全15回+始業式、修業式、「修学旅行」

スケジュール・内容の詳細

講義室

東京大学 本郷キャンパス (経済学部新棟および産学連携本部会議室の使用を予定)

教科書・
参考文献

・教科書 (予定)

  • 小川鉱一著『国際標準化と事業戦略:日本型イノベーションとしての標準化ビジネスモデル』2009年。
  • 新宅純二郎・江藤学編著『コンセンサス標準戦略』日本経済新聞出版社、2008年。
  • 妹尾堅一郎著『技術で勝る日本が、なぜ事業で勝てないのか』ダイヤモンド社、2009年。
  • 米山茂美・渡部俊也編著『知財マネジメント入門』日本経済新聞出版社、2004年。

・適宜、参考文献を提示します。またハンドアウツを配布します。

成績評価方法

各回の課題・プロジェクトの成果75%
授業への参画貢献度25%

A:100%〜81%
B:71%〜80%
C:61%〜70%
D:60%未満(不合格)

その他
  • (1)受講料:無料 ただし、教材費等の実費として10万円をご用意ください。
  • (2)受講生の数、レベル、進度等を勘案して、内容が変わる場合があります。
  • (3)毎回事前課題、事後課題を課します。
  • (4)全回の出席を前提にします。欠席は原則として認めません。

スケジュール・内容

内容(担当講師)
第1回:9/1(水) 開講式、オリエンテーション、開講講義、懇親会
第2回:9/15(水) 各自課題発表とセッション(妹尾)1
第3回:9/22(水) 各自課題発表とセッション(妹尾)2
第4回:9/29(水) 各自課題発表とセッション(妹尾)3
第5回:10/13(水) ビジネスモデルと標準化(小川)1
第6回:10/20(水) ビジネスモデルと標準化(小川)2
第7回:10/27(水) ビジネスモデルと標準化(小川)3
第8回:11/10(水) アジアのイノベーションシステム(元橋)
第9回:11/17(水) 新興国市場とイノベーション(新宅)
第10回:11/24(水) 研究開発とイノベーション(犬塚)
第11回:12/8(水) 産学連携とイノベーション(渡部)
第12回:12/15(水) ベンチャーとイノベーション(各務)
第13回:12/22(水) 総合的議論(妹尾)
第14回:1/12(水) ビジネスモデルと知財マネジメント(卒研報告)1(妹尾)
第15回:1/19(水) ビジネスモデルと知財マネジメント(卒研報告)2(妹尾)
第16回:1/26(水) ビジネスモデルと知財マネジメント(卒研報告)3(妹尾)
第17回:2/2(水) 修学旅行
第18回:2/3(木) 修学旅行
第19回:2/9(水) 修了式、閉講講義、懇親会

(2010年6月現在の仮予定ですので、講師・題名等は変更がありえます)