グローバルな知的資産経営戦略実践のための人材育成
—戦略タスクフォースリーダー養成構想とプログラムのグローバル展開を見据えて—
EPA=時事
NEDO知的資産経営研究講座では、企業がその技術や知財などの知的資産をダイナミックに活用し、競争優位に結び付けるためのイノベーション戦略を実現するビジネスモデル、そしてそれを実現するための知財マネジメントのあり方を研究してまいりました。欧米先進企業の詳細な観察と分析によって見出されたのは、新興国を巻き込んだオープン&クロース戦略、デザインドリブンイノベーション戦略など、様々な先進的な「イノベーションの実現の仕方のイノベーション」と、プラットフォームビジネスなどのチャレンジングなビジネスモデル、そして契約や知財出願と秘匿、公開を適切に組み合わせることによる知財マネジメントなどをグローバルに展開することだといえます。
本講座ではNEDO支援機関の最終年度に、この成果を人材育成プログラムに結実させるべく「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」の提案を行い、実証プログラムを通じてその有効性を検証しているところです。しかしこの提案も国際的な人材育成プログラムとしてさらに発展させる必要があります。欧米企業とのアライアンスや新興国との連携の実践の要諦については、紙の上での学習にとどまらず、実際に海外の最新の動向に触れ、グローバルなプレーヤーと一緒に学ぶ機会を提供していくことも必要です。
本シンポジウムでは、2015年度に実施予定の「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」を提案するとともに、欧米先進企業や日本を代表するグローバル企業の戦略立案と実行を担う人材に求められる素養やスキルを明らかにしつつ、東アジア、アセアン等で人材育成に取り組む機関と人材育成面での具体的な連携を検討していきます。
冒頭で、本プロジェクトが検討してきた「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」の提案を行ったうえで、第一部のパネル討論ではグローバル企業が求めるイノベーション・知財戦略人材像を明らかにしていきます。そして、続く第二部では新興国や海外機関との人材育成面での連携を検討していきます。
【日時】 | 2014年12月19日(金) |
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【場所】 | 丸ビルホール |
【主催】 | 東京大学政策ビジョン研究センター(知的財産権とイノベーション研究ユニット、大学と社会研究ユニット) |
【共催】 | 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) |
【後援】 | (一)日本知財学会、(一)知的財産教育協会、(独)工業所有権情報・研修館 |
【言語】 | 日本語・英語(同時通訳あり) |
【入場料】 | 無料 |
プログラム
(司会)二又俊文(東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員)
◆13:00-13:10 挨拶
◆13:10-13:40 知的資産経営研究講座と人材育成プログラム提案
渡部俊也(東京大学政策ビジョン研究センター教授) 講演資料
◆13:40-15:10 パネル討論「グローバル企業が求めるイノベーション・知財戦略人材像」
モデレーター 福嶋路(東北大学経済学研究科教授)
パネリスト
Bill Dresselhaus(韓国弘益大学教授、元アップル社製品デザイナー)
Jari Vaario (Head of Patent Licensing, APAC at Nokia Technologies)
長澤健一(キヤノン株式会社取締役知的財産法務本部長)
江村克己(日本電気株式会社 執行役員)
小川紘一(東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員)
◆15:10-15:20 休憩
◆15:20-17:10 パネル討論「知的資産経営戦略人材の育成方法」
モデレーター 渡部俊也(東京大学)
パネリスト
劉海波(中国科学院科学技術政策・管理科学研究所主任研究員)
Nguyen Thi Phuong(ベトナム科学技術省知的財産活用研究所副所長)
山崎繭加(ハーバード・ビジネス・スクール アシスタントディレクター)
岡本正紀(世界知的所有権機関:WIPO 日本事務所 所長代行)
元橋一之(東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻教授) ★スカイプ参加
◆17:10-17:20 クロージング
坂田一郎(東京大学政策ビジョン研究センター長)
◆18:00- レセプション(有料)
【登壇者】 登壇予定順
ゲストスピーカー紹介
◆Jari Vaario (Head of Patent Licensing, APAC at Nokia Technologies)
ヤリ・ワーリオ,ノキアのアジア太平洋地域パテントライセンス責任者。2014年9月までノキアStandards IP部門ダイレクターとして、各標準化団体でノキア代表。知財部門から技術戦略、共同研究、協業案件のコーディネーションを行った。欧州イノベーション&テクノロジー研究所(EIT)IPボードメンバーも務めた。2001年から2005年には、ノキア中国でR&D、技術、標準、IPの責任者。中国では欧州商工会議所でIT&T ワーキング・グループ代表。中国駐在以前には、東京でノキア研究センターの設立に携わり、ノキア・ベンチャービジネス技術代表を務めた。1985年ヘルシンキ工学大学(工学修士)、1994年東京大学(工学博士)取得。1998年ノキア・ジャパン入社前は数年間日本で学究活動(教授)。
◆長澤健一(キヤノン株式会社取締役知的財産法務本部長)
1981年同志社大学工学部電子工学科卒業後、キヤノン(株)入社。2000年よりキヤノンヨーロッパ駐在、2008年よりキヤノンU.S.A.駐在を経て、2010年4月より執行役員 知的財産法務本部長、2012年3月より取締役 知的財産法務本部長(現在)現在、一般社団法人 日本国際知的財産保護協会 副会長、 一般社団法人 日本経済団体連合会 知的財産委員会 企画部会委員、知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会、一般社団法人 発明推進協会 理事、一般財団法人 知的財産研究所 評議員、一般財団法人 工業所有権協力センター 評議員、 一般財団法人 日本特許情報機構 評議員 等を兼務
◆江村克己(日本電気株式会社 執行役員)
1980年東京大学工学部電子工学科卒業。1982年同大学大学院修士課程修了。同年NEC入社。光エレクトロニクス研究所、C&Cメディア研究所、第一光ネットワーク事業部製品企画部長、中央研究所・研究企画部長、知的資産統括本部長を経て、現在執行役員。コヒーレント光通信、超大容量WDM伝送、高速光アクセスシステム、フォトニックネットワーク等の研究開発ならびに基幹系光伝送装置の製品企画に従事。1987-1988米国Bellcore客員研究員。工学博士。
◆Bill Dresselhaus(韓国弘益大学教授、元アップル社製品デザイナー)
ビル・ドレッセハウス教授は現在、韓国弘益大学の招待教授などとしてデザインと技術革新の分野で教育に従事している。特に製品の設計・開発、ビジネス、デザインと技術の多くの分野で広範な40年以上の経験を有している。Apple Computer、Hewlett-Packard社、EDS、パンテックグループ、KIDP、LG化学、およびInFocusの仕事に携わってきた。同氏はアップルコンピュータ、アップルリサの主なプロダクトデザイナー、マッキントッシュの最初の設計者の一人としても著名(経歴書から抜粋)。
◆劉海波(中国科学院科学技術政策・管理科学研究所教授)
日中政府連合博士育成プログラムで博士号取得。中国社会科学院ポスドクと日本STAフェロー(NISTEP)を経て、中国社会科学院準教授、北京市知的財産局の課長歴任、2006年現職。中国国家標準「企業知的財産管理規範」を提案。中国国家知的財産領軍人材、中国知的財産研究会理事、中国文字著作権保護協会理事、北京工業大学技術移転専攻客員教授などを兼務する。いま、中国国家標準「研究開発機構知的財産管理規範」を研究担当。
◆Nguyen Thi Phuong(ベトナム科学技術省知的財産活用研究所副所長)
ハノイ大学の国際協力研究科の修士課程を修了後、科学技術省の知的財産活用研究所に入省。2011年より科学技術省知的財産活用研究所の副所長。1998から2007年まで “Modelisation des champs des Milieux Continus修士プログラムのアシスタント。イタリアローマでのライセンスプログラムの研修、日本での知的財産研究所及び発明推進協会での研修などを通じて知的財産分野の幅広い知見を習得。現在産学技術移転分野における日越協力の推進の計画の責任者。
◆山崎繭加(ハーバード・ビジネス・スクール アシスタントディレクター)
マッキンゼー・アンド・カンパニー、東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門を経て、2006年よりハーバード・ビジネス・スクール(HBS)日本リサーチ・センター勤務。主にHBSで使用される日本の企業・経済に関するケース作成、日本でのプログラムの企画・運営に従事。また2010年から2年間、東京大学Global Health Leadership Programの運営・教育に関与。東京大学経済学部、ジョージタウン大学国際関係大学院卒業。
◆岡本正紀(世界知的所有権機関:WIPO 日本事務所 所長代行)
2001年日本国特許庁入庁。通信システム、映像システム、電子部品等の審査に従事するほか、調整課品質管理室、経済産業省製造産業局模造品対策・通商室、文部科学省在外研究員等を経て、2013年8月より世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所勤務。
知的資産経営研究講座協力教員紹介
◆小川紘一(東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員)
電子材料の研究で博士号取得後の1973年に富士通研究所入社。研究部長を経て1992年に富士通ビジネス部門の事業部長に就任。富士通の理事を経て、2004年から東京大学大学院経済研究科ものづくり経営研究センター、および現在の政策ビジョン研究センター客員研究員。基礎研究から事業部経営に至る経験をベースに、日本の国際競争力、国際標準化、イノベーション政策、知財マネージメントなどの研究に従事。近著「オープン&クローズ戦略—日本企業再興の条件」(2014)など。
◆元橋一之(東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻教授) 【スカイプ参加】
1986.4 東京大学大学院・修士課程修了(土木工学専攻)後、通商産業省入省
1993.5 コーネル大学経営大学院修了(MBA)
1995.8 OECD科学技術政策局エコノミスト
1998.6 フランスから帰国後、中小企業庁、通商政策局、調査統計部に勤務
2000.12 慶応大学大学院・博士(商学)取得
2002.4 一橋大学イノベーションセンター助教授
2004.1 東京大学先端科学技術研究センター助教授
2006.5 東京大学先端科学技術研究センター教授
2006.7 東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻教授
モデレーター紹介
◆福嶋路(東北大学経済学研究科教授)
1997年一橋大学大学院商学研究科博士課程 単位修得退学後、東北大学大学院経済学研究科経営学科准教授(地域企業論担当)、テキサス大学オースティン校IC2研究所客員研究員を経て、2012年から現職。専門は経営学。特に、地域企業の戦略、地域イノベーション、地域企業家の活動、研究機関などからの技術移転に関心をもって研究をしている。著書には『大学発ベンチャーとクラスター戦略』(西澤昭夫氏と共著、学文社、2005年)、『ハイテク・クラスターの形成とローカル・イニシアティブ テキサス州オースティンの奇跡はなぜ起こったのか』、東北大学出版会(2013)がある。
◆渡部俊也(東京大学政策ビジョン研究センター教授・副センター長)
民間企業を経て、98年東京大学先端科学技術研究センター情報機能材料客員教授。現在東京大学政策ビジョン研究センター教授(副センター長)、東京大学産学連携本部副本部長、東京大学安全保障輸出管理室支援室室長。東京大学リサーチアドミニストレーター推進室 副室長等を兼任する。内閣官房知的財産戦略検証評価企画委員会座長(産業財産権担当)、日本知財学会理事・会長、知的財産教育研究・大学院協議会理事、東京理科大学専門職大学院知的財産戦略専攻客員教授などを兼ねる(工学博士:東京工業大学)。イノベーターの知財マネジメント、白桃書房(2012)など。
主催者代表紹介
◆坂田一郎(東京大学政策ビジョン研究センター教授・センター長)
1966年生まれ。東京大学工学系研究科教授(技術経営)。同総合研究機構イノベーション政策研究センター長、東京大学政策ビジョン研究センター長等を兼務。日本工学アカデミー政策委員会委員、荒川区教育委員等を務めるとともに、復興庁参与。OECDのイノベーション戦略策定のアドバイザー委員を務めたほか、現在、ジャカルタに本部を置く東アジアASEAN経済研究センターのプロジェクトリーダーを務める。関心領域は、情報工学を用いた技術経営、技術予測、イノベーションネットワーク等であり、特に構造変化の激しいエネルギー領域を対象に研究を行っている。これまで、原著論文、国際会議のプロシーディングス合わせて100本以上の論文を発表。東京大学経済学部卒、米国ブランダイス大学より国際経済・金融学修士号、東京大学より博士号(工学)を取得。東京大学に移る前に、経済産業省においてイノベーション政策の立案等に20年間従事。
司会
◆二又俊文(東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員)
2012年より東京大学知的資産経営講座講師。経済産業省・特許庁知財関連調査事業・委員会メンバー。経産省・三菱総研SEP研究会座長。2007年よりイタリア本社の知財管理会社Sisvelの日本法人代表取締役(5年間)。 パテントプールなどライセンスプログラム運営。シズベル以前はパナソニックモバイルコミュニケーション社(移動体通信事業)でASEAN代表(シンガポール駐在)を経て、2001年帰国後、同社海外知財交渉責任者(CLS)。
国内外の知財セミナー活動。2014年日経ものづくり塾(海外交渉セミナー)講師。IP Week(シンガポール特許庁主催)パネリスト、同IPアカデミーにて知財専門職コース講師, SEMI Global IP Summit 2013(サンフランシスコ)など。