政策関連用語集
安全保障研究ユニット関連
- アジア・太平洋共同体構想(Asia Pacific community)
- ケビン・ラッド豪州首相が2008年6月のシドニー演説で提唱した構想。成長を続けるアジア・太平洋地域の平和と繁栄を確保するためには、受動的に対応するのではなく、政治、安全保障、経済などの領域で多数存在している地域協力を包括する枠組みを2020年までに構築することが重要としている。地域各国との事前協議が十分でなかったため、特に東アジアでの地域協力の運転席に座っているとされてきたアセアン諸国から厳しい批判を浴びる。豪州政府はその後、特使を各国に派遣、また2009年12月にはシドニーにおいてトラック1.5(政府関係者・民間有識者からなる)の国際会議を開催したところである。
- 安全保障のジレンマ (security dilemma)
- 国際関係において、各国が自国の安全保障を最大とするように行動した場合、仮に各国とも現在より権力を拡大する意志がなかったとしても、結果としては他国に対して対抗的な政策を選択することになるというパラドックス。ルイス・ハレーをはじめ、ゲーム論が展開される以前にも議論されてきたが、ゲーム論における囚人のジレンマによってもっともよく説明できる現象であり、ロバート・ジャービスによって定式化された。
- エコノミック・ピース(economic peace)
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国境を越えた経済取引の拡大が国際平和の条件であるという考え方。平和の条件を説明する議論のなかで、政治体制の民主化を平和の条件として考える政治的リベラリズムと並ぶリベラリズムの代表的な国際政治認識である。その原型はアダム・スミスに見られるが、イギリスのマンチェスター学派を経て、現在ではジョゼフ・ナイとロバート・コヘインによる複合的相互依存論がおもな定式化である。
- セキュリタイゼーション (securitization)
- 特定の争点領域を安全保障の対象として判断すること。世界の地域によって安全保障の政策領域には多くの差異が存在するという地域安全保障複合体(regional security complex)概念とあわせ、バリー・ブザンとオレ・ウィーバーによって定式化された。その前提は、安全保障の対象領域は所与のものではなく、認識主体の判断と優先順位によって定められるという認識であり、優れて構成主義的な概念構成である。
- 東アジア共同体構想(East Asian community)
- 鳩山由紀夫首相がかねて提唱し、2009年11月のシンガポール・アジア政策講演でも確認された構想。2002年1月の小泉純一郎首相・シンガポール演説においても、日アセアン関係を基礎とした「共に歩み共に進むコミュニティ」の形成が提唱されていた。鳩山構想は小泉演説に比べれば、参加国に関する積極的な議論を避け、貿易、環境、防災・復興支援、感染症対策、海上保安分野など機能的な協力の推進に重点を置き、「開かれた地域協力」の原則のもとで各分野での協力が個別に進み、信頼が育まれることに期待が寄せられている。
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