政策関連用語集
生命・医療倫理政策研究ユニット関連
生命倫理専門調査会
内閣府設置法総合科学技術会議令第2条第1項に基づき、総合科学技術会議に設置された専門調査会の一つ。前身は総理府に置かれていた「生命倫理委員会」。「生命科学の急速な発展に対応するため、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律第4条第3項に基づく特定胚の取扱いに関する指針の策定等生命倫理に関する調査・検討を行う」ことを職務とする。2004年には「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」を公表。各省庁から出される研究倫理指針の改正に関する諮問への対応の業務も多い。
国家(全国)生命倫理委員会
‘national ethics body’あるいは‘national ethics committee’。ユネスコの定義によると「生命倫理の諸問題についての政策立案・助言組織」。議会や行政当局内に、特定の事例や領域についての調査組織が一時的に設置されることはあるが、政策課題の調査能力を伴う公的検討組織の先駆けとしては、70 年代アメリカでの、国家研究法にもとづく「生物医学・行動科学研究における研究対象者の保護のための国家委員会」(1974−1978)が挙げられる。常設の国家倫理組織としては 1983 年にフランスで設置された「国家生命・医科学倫理諮問委員会」(CCNE)が知られており、20年余の歴史と共に現在も精力的に活動している。 委員会による発議のほか、当局等からの諮問に応じて作成される政策報告書は、国内外の生命倫理政策関連の行政および立法に影響力を持つ。
研究倫理(学)
狭義には、人(人体の一部を含む)を対象とする研究の倫理的問題を検討する学問領域。広義には動物実験の倫理的問題や研究者倫理も含む。倫理的に適切な研究を進めつつ、研究対象(者)の保護を図ることをその目的としている。歴史的には、第二次世界大戦中および戦後の非倫理的研究に対する反省をもとに発展してきた。特に、アメリカの被験者保護に関する国家委員会が1979年に公刊した倫理ガイドライン「ベルモント・レポート」は、その後の研究倫理の発展に大きな影響を与えた。レポートは、「人格の尊重」「善行」「正義」の3つの倫理原則を提示したうえで、「被験者からのインフォームド・コンセントの取得」、「研究計画の好ましいリスク・ベネフィット比率」、「公正な被験者の選択」を倫理的な研究の要件として挙げている。
ヘルシンキ宣言
「世界医師会ヘルシンキ宣言」(1964年)。人を対象とした研究活動に関する指針((「人を対象とした研究に関する倫理原則」)を示したものであり、現在では研究倫理ガイドラインとしての性格を強めている。東京(1975)、ベニス(1983)、香港(1989)、南アフリカ(1996)、エディンバラ(2000)、ソウル(2008)と改正を重ねている。日本の多くの研究倫理指針が参照している。
ELSI(エルシー)
Ethical, Legal and Social Issuesの略。研究の進行に伴って生じる生命・身体の取扱いについての倫理的、法的、社会的議論を検討する活動。ヒトゲノム計画で研究予算の一定割合がこの領域の検討に割り当てられた。以降、脳研究、再生医学などの大型プロジェクトと並行して、該当する技術がもたらす社会的懸念を特定し、かつ対応を検討するための活動が併置されるケースが目立つ。
臨床倫理(Clinical Ethics)
臨床現場で生じる各種の倫理問題を特定、分析し、かつ解決を試みることにより、患者へのケアの質を向上させるための活動。日常医療における医療者=患者関係、診療における子どもの意思の尊重などの問題のほか、治療の差し控えや中断、治療や特定の施術の拒否への対応などがある。こうした問題への対応を検討したり、問題点を共有するための機能として「病院倫理委員会」(Hospital Ethics Committee)や「倫理コンサルテーション」に注目が集まっている。
専門職倫理
プロフェッションとしての個人および組織の一員としてなすべき倫理。医療においては、医療従事者として患者への義務、および同じ医療従事者間において果たすべき義務を検討するもの。日本医師会(「医師の職業倫理指針」、2008年改訂)をはじめ、各職団体から職業倫理指針が示されている。
生殖補助技術(ART)の倫理
ARTはAssisted Reproductive Technologyの略。狭義には人工授精(artificial insemination: AI)や体外受精(in vitro fertilization: IVF)などの技術進歩に伴って可能となった生殖補助に伴って新たな検討課題となった法的、倫理的、社会的問題を指す。具体的には、代理出産の問題、精子・卵提供および長期保存に伴う諸問題、親子関係の定義、子どもによる生物学的出自を知る権利などがある。
ニューロエシックス
脳神経倫理とも。人間の価値観や人格の存在を神経科学的理解によって把握することを目指す場合、または、脳への介入、神経科学技術を使用する研究活動および臨床応用に関する諸問題(脳スキャンなど脳関連情報の取扱い、脳組織の利用、向精神薬などの精神薬理学の取扱い、脳=コンピュータ・インターフェイス、神経細胞の移植など)、およびこれらの社会的、政策的な影響(脳画像の証拠採用など)を検討する。脳科学の急速な発展の中、独自の検討領域として取り上げられることも多くなってきた。
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