政策関連用語集
再生医療政策研究ユニット関連
- 高度医療評価制度
- 2008年4月に導入された制度。薬事法の承認等が得られていない医薬品・医療機器の使用を伴う先進的な医療技術については、保険診療との併用が原則認められていない。しかし、これら先進的な医療技術のうち、「高度医療」として認められたものについては、保険診療との併用ができるとするものである。この制度により、当該医療技術の科学的評価のデータ収集や新たな医療技術に対する患者ニーズに応えることを目的とする。
- 再生医療
- 再生医療とは、失った組織や臓器を補うために、本人もしくは他人の細胞、組織を培養、加工した後に、生体内に移植することによって失われた機能を回復する医療である。幹細胞あるいは成熟細胞を用いて、治療に必要な組織・臓器を作製する。近年、ドナー不足が問題である臓器移植の代わりに、高齢化に伴う疾患、腫瘍、先天性異常、外傷などによる組織欠損を修復、再生する医療技術として、再生医療が期待されている。
- GCP(医薬品の臨床試験の基準)
- 医薬品の製造承認に向けた資料収集のために実施される臨床試験(治験)について、その実施にあたっての遵守事項を定め、被験者の人権保護と試験成績の科学性と信頼性の確保を目的として定められた基準。英語のGood Clinical Practiceの略としてGCPとよばれる。2008年に改正されたGCP省令では、前文に被験者保護の文言が追加され、治験審査委員会について外部の委員会の活用や迅速な審査を行うことができる対象を定めるなど治験体制の整備を行っている。
- GLP(医薬品の安全性試験の実施に関する基準)
- 新規医薬品の承認申請等を行う際に添付される動物試験データ等の信頼性を高めるために、試験施設の構造などのハード面および職員教育や業務態勢などのソフト面の両面から試験実施上の遵守事項を定め、適切な動物試験棟の実施を推進することを目的とした基準。英語のGood Laboratory Practiceの略でGLPとよばれる。
- 自主臨床研究
- 医薬品や医療機器に関して、人での有効性や安全性を調べる研究を一般に「臨床研究」という。臨床研究は「自主臨床研究」と「臨床試験(治験)」に分類され、自主臨床研究は、医師法にもとづき、「臨床研究に関する倫理指針」や「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」などを遵守しつつ研究者(主に医師)主導で実施されるものを指す。一般に、臨床試験(治験)のような煩雑な手続きを必要としないため比較的容易に実施可能であるものの、安全性や科学性が十分に確保されにくいという問題点を有する。
- スーパー特区(先端医療開発特区)
- 従来の研究資金や規制のもとで開発が困難な革新的技術について、研究資金の特例や規制緩和を認める特区(複数拠点をネットワークで結んだ複合体)を整備し、その開発を促すもので2008年に創設された。平成20年度の公募では、iPS細胞応用や再生医療分野もテーマの一つとされ、採択された24件のうち、iPS細胞応用に関するものが2件、再生医療分野に関するものが5件あった。研究期間は5年である。特区では研究資金の統合的な運用、承認審査の迅速化などが可能となる。
- トランスレーショナルリサーチ
- 基礎医学の研究成果を、実際の臨床応用につなげていくための一連の研究過程をさし、橋渡し研究ともよばれる。近年、先端的医療を研究・推進する大学や研究機関等にトランスレーショナルリサーチの拠点がおかれ、研究シーズから臨床応用への実現に向けた取組みがなされている。
- ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針
- 再生医療の研究成果を患者の治療に用いる研究(自主臨床研究)を行う際の安全性を確保するために定められた指針であり、厚生労働省から平成18年7月3日に通知された。同指針では、ヒト幹細胞がES細胞を除く、すべての培養細胞と解釈されるため、実質的には現行の再生医療の自主臨床研究はすべてこの指針に該当する。臨床研究をおこなう研究機関はこの指針に基づき実施計画書を作成し、厚生労働大臣の審査を受けなければならない。
- 薬事法
- 薬事法は医薬品、医薬部外品及び医療機器等に関する運用などを定めた法律である。再生医療に用いられる再生医療製品は、薬事法に基づき生物由来製品あるいは特定生物由来製品として、ドナーの選択基準など原材料の安全性確保、施設要件の担保、原料・製造記録・サンプル品・販売先等の保管管理等、製造販売する場合の適切な表示等、感染症定期報告の遵守などが求められる。
- 倫理委員会・倫理審査委員会
- 医学研究、特にヒトを対象とした研究の倫理的側面について審査を行う委員会の総称である。医学研究の被験者の保護を目的とし、インフォームドコンセントの保障や研究のリスクとベネフィットの評価を行う。治験については、GCPにより治験審査委員会の設置が義務づけられる。一方、医療現場で生じる様々な倫理的問題を検討するために医療機関に設置される委員会についても倫理委員会とよばれることもある。
- 臨床応用
- 再生医療の最終的な目標は、新しい研究成果を臨床(患者)に応用し、患者の病気を治療することにある。そのためには、公官庁の審査・承認を受ける必要がある。医師の判断で単一病院内で小規模に行う場合は、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」にのっとり厚生労働大臣の承認が必要である。一方、企業が再生医療製品を商品化し、広く流通させるためには、薬事法にのっとり臨床試験(治験)を実施し、厚生労働大臣による製造販売の認可を受ける必要がある。
- 臨床試験(治験)
- 日本で新しい医薬品や医療機器を製造・販売するためには厚生労働省の承認が必要であり、そのためのデータ収集を目的に行われる臨床試験を「治験」という。治験は、治験届を提出したうえで、薬事法や臨床試験実施の基準(GCP)を遵守しつつ実施することが求められる。更に、再生医療製品のように細胞組織を含有する場合には、臨床使用における知見の蓄積が十分でないため、治験届に先立ち品質や安全性のレベルに関する確認をうけなければならない(確認申請)。治験が終了し、医薬品や医療機器としての有効性や安全性に関する資料が整うと、承認申請が行われる。
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