政策関連用語集

第2の死の谷

21世紀に入り知識創造のスピードはどんどん早まっている。例えば、太陽電池の例では、学術知識の創出量は、現在は80年代の10倍以上となっている。こうした学術知識の爆発に後押しされて、これまで社会が想定してこなかったような新技術・手法が次々と生まれている。例えば、再生医療、在宅検診が可能なナノ医療デバイス、カーボンナノチューブ、生活支援ロボット、高効率の太陽光発電システム、進化する教科書等である。一方、国の制度の変化(制度には、モノや技術の技術基準、安全基準、標準、計測方法、安全性や効果に関する認証の仕組み、交通規則、社会的価値の高い技術の導入支援制度等のハード・ソフトローの双方を含む)のスピードは従来と比較して大きく変わっておらず、技術進歩のスピードと比較して緩慢である。

そのため、技術進歩と制度との間に「谷」ができ、制度の空白の中に置き去りにされる新技術が多数生まれている。新技術には何らかの不確実性やリスクが伴うのが普通である。このため、不確実性や危険性を適切に評価し、社会的なベネフィットを比較して採否を判断したり、それらを社会的に管理する制度がないと、新技術の市場化/社会的受容は困難である。

主に金融的な事情により、ベンチャー企業が持つ新技術の市場化が阻まれることは「死の谷」と呼ばれている。政策ビジョン研究センターの坂田教授は、先に述べたような制度的な要因により新技術の市場化が阻まれることを「第2の死の谷」と名付けている。

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