平成24年度のイベント

France-Japan Workshop: Human and Social Sciences on Nuclear Activities: Comparisons and Collaborations between Japan and France

ワークショップ

平成24年6月21日

東京大学 伊藤国際学術研究センター

概要

原子力活動に係わる人文社会科学分野の日仏研究者の対話の場を作り、共通する研究の視点や具体的な共同研究提案の可能性を探る。日本側参加者は当研究ユニットメンバーに加え、寿楽浩太氏(東京電機大)、菅原慎悦氏(電中研)、フランス側参加者はProf.B.Yannick (CNRS-CSI Mines Paris Tech), B.A.Cécile(CNRS-MAEE Maison franco-japonaise), Prof.J.Paul(CNRS-MAEE Taipei), Prof.L.Sandra (Sorbonne Paris 1), Prof.P.Phillipe (Université Lyon II), Dr.R. Thierry (CNRS-MAEE Maison franco-japonaise)。

シンポジウム「金融リスク管理の研究:リーマン・ショック、欧州ソブリンデッドクライシスや東日本大震災から何を学ぶか

シンポジウム

平成24年10月25日

東京大学 伊藤謝恩ホール

概要

武藤敏郎氏(大和総研理事長)より「金融危機と財政危機」、瀬谷俊雄氏((株)企業再生支援機構社長)より「リスクとの共生を考える」と題する基調講演の後、池尾和人氏(慶応大学教授)、柳川範之氏(東京大学教授)、城山英明氏(東京大学教授)を交え、三國谷教授の司会により、金融リスクの理論面および実務面での課題や対応の方向性、方策について意見交換が行われた。

本シンポジウムについては、いくつかの視点が挙げられる。一つは、金融危機の類型である。一つは金融におけるリスクの意味である。一つは、金融分野におけるリスク管理と自然科学分野におけるリスク管理との比較である。

  1. この四半世紀、わが国は、1990年代の日本の金融危機、今次の世界的な金融危機、そして今次の東日本大震災を経験した。日本の金融システムから内発的に生じたもの、他国の金融システムからいわば外発的に生じたもの、自然災害から生じるもの様々である。ただ、金融システムの外延は広い。為替水準、実体経済、他国の金利や流動性の状況などが複合的に金融システムに影響を及ぼし、金融システムも実体経済に様々な影響を及ぼしていく。仮に今後、例えば東海大地震や首都直下型のような災害が生じた場合には、これまでの経験事例が複合するような事態も考えられる。広くリスクの連関構造を俯瞰していくことも必要となる。シンポジウムにおいては、EUにおける事例を例に、金融危機財政危機の複合問題への言及も行われた。
  2. 金融機能の一つは、金融システムが幅広く適切にリスクを引き受けて分散し、社会全体としてのリスク受容度を増していくことにもある。リターンはリスクとの共生を考える中から生まれてくる。一方で、今次の世界的金融危機は、行き過ぎたリスク創造の脆弱性も露にした。他方、行き過ぎには問題があるとしても、それがシステムの全否定にはつながらない。過度なリスクテイクを抑制しながらリスクといかに共生していくかは、普遍的な課題である。
  3. リスクとは何か、リスク管理とは何かという面からは、社会科学分野と自然科学の間に現象面での違いがあるにしても、共通するものもあるとの見解も示された。その意味で、やはり、社会科学分野と自然科学分野を横断的に俯瞰することの必要性の議論にも及び、随所で、世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書の例が挙げられ、内容が紹介された。
  4. この他、金融政策についても議論された。

福島原発事故がアジアにもたらしたもの社会的、政治的、経済的なリスクの連鎖を考える

ワークショップ

平成25年2月13日

東京大学 伊藤謝恩ホール

概要

福島原発事故はアジアの原子力利用国に何をもたらしたのか、その状況への理解を深めることを主眼とし、韓国科学技術院のKang客員教授より福島事故から韓国は何を学び、如何なるリスク・ガバナンスを展開しようとしているのか、シンガポール国立大学のGopi准教授から福島事故以後インドにおいてどのような問題が顕在化し議論されているのか、同様に北京大学のChen副教授から福島事故以後中国においてどのような問題が顕在化し議論されているかについて講演があった。これらを踏まえ、パネルディスカッションでは、諸葛東大特任教授、鈴木原子力委員会委員長代理、城山東大教授を加え、谷口教授の司会で、原子力重大事故が国内社会に留まらず、国際社会なかでもアジア地域にどのような社会的、政治的、経済的なリスクを引き起こすか、それらの連鎖と帰結の意味合いを我々はどのように認識すべきなのか、そして如何に対処しうるかについて議論を行った。