2017年2月3日、東京大学本郷キャンパス(大和ユビキタス学術研究館)にて、食・農分野におけるゲノム編集に関する欧米の現状に関する国際シンポジウムを開催した。昨今、医学、農業・食品等様々な分野でゲノム編集技術の適用に対する期待が高まっている。こうした期待とともに、その管理・規制のあり方を巡る議論もなされている。本シンポジウムは、特に食・農分野における実社会への導入における現状と課題を欧米等の議論を踏まえて、国際調和を念頭に議論することを目的として開催した。 まず米国と欧州の状況に関する基調講演が行われた。当初米国については、ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University, USA)のジェニファー・クズマ(Jennifer Kuzma)氏が登壇予定であったが、急きょご本人の都合により参加できなくなったことから、司会の松尾真紀子(東京大学政策ビジョン研究センター・特任助教)が本人の承諾を得て、「ゲノム工学からゲノム編集へ:米国のガバナンスの観点から(From Genetic Engineering to Gene Editing: U.S. Governance Perspective)」を自らの解釈に基づき紹介した...
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◆2014年に西アフリカ諸国で生じたエボラ出血熱への対応の遅れをはじめとする公衆衛生・保健の課題は、伊勢志摩サミットでG7がコミットを表明し政治的重要性を付与するべき重要課題である。 ◆5月に開かれる伊勢志摩サミットでG7各国に対し、東京大学政策ビジョン研究センター複合リスク研究ユニットは、グローバルヘルス・ガバナンスの再構築に関する4点についての包括的政策提言を行う。 ◆グローバルヘルス・ガバナンスの再構築には、グローバルなサーベイランスの仕組みの構築、多段階での段階的意思決定を可能にする枠組みの構築、状況別調整枠組みの構築、緊急時と平時の保健システム強化に関する資金調達枠組みの構築に関する包括的取り組みが必要である。
>プレリリース「グローバルヘルス・ガバナンスの再構築-G7への提言」
>政策提言「グローバルヘルス・ガバナンスの再構築-G7への提言」
>コラム「100億人でサバイバル」、またの名を「地球移住計画」
私たちはなぜ科学で決められた基準値を疑わないのか、本当に安全は過去の実績で判断できるのか。リスクにまつわる誤解と安全の本質に迫ります。
< α-Synodos vol.194+195
- 「100 億人でサバイバル」の監修にあたり、2つのポイントを強調しました。
1つは社会との関係です。地震と震災と2つの言葉があるように、ハザードである地震は、人々や建物が存在し、かつ、脆弱性がある場合に、震災となります。従来の科学はハザードが発生する仕組みに注目しがちですが、社会システムとの関係を強調しました。既知のハザードでも社会が変化すれば、未知の被害を引き起こします。
もう1つは地震や津波といったすでに関心が高いハザードだけでなく、太陽フレアやカルデラ噴火といった自然災害、新たな感染症や大規模テロといった、多様なハザードを扱っている点です。日本では事件・事故が起きてから対策がとられることが多いのですが、未然防止にもっていくためには「オールハザード」アプローチが必要です。
見どころの1つが、赤い「ハザード玉」を使って、地球上に起こる、火山噴火、感染症の発生、大地震、CO2発生様々なハザードが社会に被害をもたらす仕組みを表した機械仕掛けの大型模型です。
[常設展示] | 日本科学未来館 (Miraikan)
>コラム「オリンピックという緊急事態」
>コラム「2015年のリスク:「起こったこと」と「起こらなかったこと」」
法規制による強制でもなく、経済的インセンティブによる誘導でもなく、選択の自由を維持したまま、人間の持つ心理的バイアスをうまく利用することで、人々の行動を「良い方向へ」変容させるというアプローチから生まれた「ナッジ」についての、導入編的コラムです。是非お読みください。 公共政策大学院STIGで、11/25(水)にこれに関連したシンポジウムを行ないますので、内容にご興味お持ちいただけましたら是非こちらもご参加ください。
>コラム「公共政策に行動科学の知見を使え!ナッジ誕生の地で大統領令が公布」
米国環境保護庁は10月1日、オゾンの大気環境基準値を現行の0.075ppmから0.070ppmに強化することを発表した。新基準値の強化と同時に発表された規制影響分析(RIA)では、2025年における年間規制遵守費用が14億ドルであるのに対して、年間便益が29~59億ドルに上ると推計された。便益には320~660人の早期死亡や23万件の子供のぜんそく発作の削減が含まれている。 米国のオゾン基準値は5年ごとに最新の科学的知見を収集・分析し、現行の基準値の妥当性を判断することが義務付けられている規制値である。この基準値の決定にあたり、遵守費用や技術的可能性を考慮してはならない(米国裁判所の解釈による)ため、健康への影響だけを考慮していることになる。 これに対し、日本のオゾン基準値は目標値となっている。米国の状況と比べ、日本の基準値決定の仕組みはどのようになっているのだろうか。
<コラム「米国のオゾンの基準値が改訂 - 最新の科学的知見が反映される仕組み」