- 岸本充生
- 「米国のオゾンの基準値が改訂 – 最新の科学的知見が反映される仕組み」
米国環境保護庁は10月1日、オゾンの大気環境基準値を現行の0.075ppmから0.070ppmに強化することを発表した。新基準値の強化と同時に発表された規制影響分析(RIA)では、2025年における年間規制遵守費用が14億ドルであるのに対して、年間便益が29~59億ドルに上ると推計された。便益には320~660人の早期死亡や23万件の子供のぜんそく発作の削減が含まれている。 米国のオゾン基準値は5年ごとに最新の科学的知見を収集・分析し、現行の基準値の妥当性を判断することが義務付けられている規制値である。この基準値の決定にあたり、遵守費用や技術的可能性を考慮してはならない(米国裁判所の解釈による)ため、健康への影響だけを考慮していることになる。 これに対し、日本のオゾン基準値は目標値となっている。米国の状況と比べ、日本の基準値決定の仕組みはどのようになっているのだろうか。