平成25年度のイベント

科学技術リスク・ガバナンスに関する国際シンポジウム

シンポジウム

平成25年12月15—17日

東京大学 伊藤国際学術研究センター・山上会館

概要

科学技術のより良いリスク・ガバナンスのあり方を考えるにあたり、異なる技術および地域でどのような共通性と差異があるのかを深く理解すること、技術や地域に特有の問題、共通的な問題を同定すること、そしてベストプラクティスを探索すること、そして世界から多様な学問分野の若手の研究者の参加を得てネットワーキングの機会を提供すること、を目的とし、2日間にわたり米国、フランス、ドイツ、中国、韓国、シンガポール、日本の若手研究者を中心に38名が集い、クローズド・ワークショップとして食品関連、原子力、気候工学に関するセッション及び総括セッションをシリーズで開催した。

総括セッションでのポイントは、科学技術としてのステージとして見た場合、それぞれのセッションととりあげた対象は、食品は「製品」、原子力は「産業」、気候工学は「研究」であった。そして、リスク・ガバナンスという切り口でそれぞれを見ると課題の所在は、気候工学はガバナンスの欠如、食品はガバナンスの機能障害、原子力はガバナンスの失敗/破綻にあると言える。また、それぞれの処方箋は、気候工学については新たな国際的なガバナンス枠組みを構築する必要があり、食品については既存のガバナンス枠組みを調整する必要があり、原子力については既存のガバナンス枠組みを再構築する必要があると整理される。新規技術のイノベーションを促進しながらも、それらが潜在的に持つリスクをできるだけ小さくしていくためには、行き当たりばったりの対応ではなく、ガバナンスという視点で考えることの重要性が改めて確認された。

3日目の公開シンポジウム(山上会館)では、科学技術のリスクを如何にガバナンスするか、その基本的な考え方、アプローチ、学際的な課題について、「Risk Governance, Precaution, and Policy Making」と題しOrtwin Rennシュッツガルト大学教授(都合によりビデオ講演に変更)と「International Collaboration for Better Governance of Science and Technology」と題しLan. Xue清華大学教授から基調講演が行われた。その後のパネル討論では、Kuzmaノースカロライナ州立大教授、Alemanno HEC Paris(経営大学院)法学教授教授、岸本東京大学特任教授を加え、谷口教授の司会で若手研究者のワークショップでの議論を紹介したうえで、科学技術リスクのより良いガバナンスに向け横断的な課題について意見を開陳した。

本シンポジウムは、東京大学伊藤国際学術研究センター会議(IIRC)の第1回企画会議に応募し採択されたもので、採択から約1年の検討を経て実施された。