スマートレギュレーション

内容

日本では、問題が起きるまで規制がなされない「過小規制」の問題と、一度何か問題が起きれば徹底的に規制が行われる「過剰規制」の問題を繰り返されてきた。これに対して、バランスのとれた適正な規制とはどのようなもので、どうすれば実現できるのだろうか。「スマートレギュレーション」はそのような課題に対するアプローチを試みるものである。

この活動の背景には、今日ますますエビデンスに基づく法規制や各種基準値の設定と、国民をはじめとするステークホルダーへの説明責任が求められており、本来もっと規制影響分析をはじめとする政策評価やJoint fact findingやテクノロジーアセスメントといった様々な活動が活用されるべきだとの考えがある。

そこで本研究会では、意思決定の根拠となる規制のエビデンス、影響評価(事前・事後)のあり方についての検討や、海外動向の把握(米、欧、OECD等)とその具体的実践からの示唆の導出、日本における規制や政策評価の制度的課題、RIAの具体的実践における課題等の検証等を行っている。

これまでの活動

上記の目的を踏まえ、まずは現状に関する分析をするため、研究ユニットメンバーによる報告(岸本充生「日本における規制影響分析の現状と課題と潜在的な可能性」、中泉拓也「RIA and competition analysis in the U.S. and Issue of RIA in Japan」、松尾真紀子「スマートレギュレーションに関する国際的動向」)や、講師を招いての議論(石田客員教授「金融のベターレギュレーションについて」)を行った。また、海外からの専門家の来日の機会をとらえて、海外動向に関するインプットやより良い規制の在り方に関する議論を行った(米国デューク大学教授ジョナサン・D・ウィーナー氏とのディスカッション、元欧州委員会政策アドバイザーのマイケル・D・ロジャース氏「Expert Advice and Moving from Precaution To Smarter Regulations」)。さらに、関連する行政関係者へのヒアリングや意見交換も行った。現在は、ブレーンストーミング、コンセプト形成の段階であるが、将来的には、試行的なRIAの実践等行うことで、具体的な政策提言(制度的・実践的)につなげたいと考えている。