概要
学童期は、生涯を通じた健康づくりの基礎となる重要な時期である。本プロジェクトでは、予防教育を早期開始するためのプログラムの開発と、子どもを起点として家庭内で大人にも生活習慣の改善が波及させること狙った研究を進めている。
小学生を対象とした出前授業の実施
- 静岡県の協力を得て、県内の小学6年生を対象に、保健体育の授業の一環として生活習慣病予防にかかる出前授業を実施している。
- 授業では、食事、運動等と病気の関係を学び、”身体に良い生活習慣”を身に付ける必要性を理解したうえで、自分なりの取り組みを考えることを狙っている。
- 子どもにとって健康づくりがより身近に感じられるよう、地域の「データヘルス計画」を活用している。また地域による食文化や健康状況の違いにも着目させている。
- 受講した子どもが”身体に良い生活習慣”の重要性を大人の家族に伝播させ、子どもを起点に大人を含めた家族の生活習慣改善まで広がる効果を狙い、これを検証する予定である。
健康保険組合を通じた子どもへの予防教育
- 健康保険組合の被保険者を通じ、その被扶養者である子どもを対象とした予防教育教材の開発を行っている。
- 子どもが中心となって、家族ぐるみで生活習慣の改善に取り組めるプログラムの開発を目指している。
研究の実施のお知らせ
研究課題:生活習慣病予防のため出前授業におけるアンケート調査
東京大学倫理審査専門委員会 審査番号:18-228
研究責任者:古井祐司
研究の概要:
従来から行われてきた生活習慣病予防対策事業は、主に成人を対象としたものであるが、親のおやつの与え方が成人後の過体重に影響することが示されている など、学童期は生涯を通じた健康づくりの基礎となる重要な時期である。また、児童・生徒期に保健についての学習内容が多いほど、成長後、生活習慣病への予防意識が高く望ましい生活習慣が身についているという先行研究 もあり、早期からの予防教育は成人後の健康増進の基盤になると考えられる。
学童期における生活習慣病予防教育は、学習指導要領に基づき保健体育の一部として行われているが、本研究では、外部の専門家講師により、地域の健康状況に応じた特色ある出前授業を行った。本授業では地域の健康状態(児童の父母・祖父母等の健康状態や生活習慣)をデータヘルスの活用により可視化するとともに、学習を通じて児童の創造性が引き出されるよう教材を工夫し、児童が必要な知識を身につけ生涯にわたって健康な生活を送ることができるよう支援する取組みを行った。
また授業の実施により、児童の健康に対する意識・行動変容を促すとともに、児童が授業で学んだ知識を家族にも伝播させ、児童を起点に家族全体の生活習慣の改善につながる可能性を探ることを目的とした。