2019年4月1日をもちまして、政策ビジョン研究センター(PARI)は未来ビジョン研究センター(IFI)に組織統合いたしました。
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最新情報はIFIウェブサイトをご覧ください。(最終更新日2019年3月31日)

プログラム

15:30-15:35 開会挨拶(東京大学政策ビジョン研究センター 河島伸子客員教授)
15:35-16:15 「新分野の芸術における価値創造の形成過程 ~ メディアアートとその関連分野を例に 」(一般社団法人クリエイティブクラスター 代表 岡田 智博 氏)
16:15-17:00 ディスカッション
17:00-17:20 休憩
17:20-18:00 「革新を続ける国内アニメーションの強みと可能性」(ジャーナリスト 数土 直志 氏)
18:00-18:45 ディスカッション
18:45-19:00 閉会挨拶(東京大学政策ビジョン研究センター 河島伸子客員教授)

概要

「新分野の芸術における価値創造の形成過程 ~ メディアアートとその関連分野を例に」(岡田 智博 氏)
新たな表現による芸術が、受容され、どのように価値を見出すことになるのでしょうか。写真と映画は誕生と同時に商業的な活用が 行われる一方、当時における技術表現の希少性ゆえにこれまでの視覚芸術であった絵画とともに芸術的議論と評価による価値の形成が その表現の誕生と軌を同じにして生まれました。
そして、20世紀後半に入り、主にコンピュータを用いた新しい科学技術によるメディアアートと多くの場合よばれる芸術表現が登場しました。 写真や映画とは異なり、もともと視覚表現のための手段として用いられているわけではなかったため、これまでの芸術における評価とは 異なる新たな価値をこの表現分野では見出すことが必要でした。時代とともに、コンピュータの用途として画像処理が主たるものとなり、 デジタルコンテンツが人々の娯楽の中心となったように、ICT(情報通信技術)をめぐる環境が進化するにつれ、メディアアートが主たる 芸術表現手段のひとつとして、特にこの10年間から高く評価されるようになっています。2020年に開催されるオリンピック・パラリンピック 競技大会に向けた開催都市の引継ぎ式において、わが国の東京を代表する芸術表現として披露されたことは、その好例であるといえます。
 講演では、「メディアアート」とよばれるこの新たな存在が、わが国において、どのようにして芸術としての価値を得るようになってきたのかを 市場の形成を通じて価値たらしめる、経済的な価値の形成過程を観察することより考察します。


「革新を続ける国内アニメーションの強みと可能性」(数土 直志 氏)
2016年の『君の名は。』のメガヒットをはじめ、近年、生活の中でアニメの存在を感じることが増えています。それは映画だけでなく、音楽、 出版から美術館の展覧会、さらに企業コラボレーションまで様々です。少し前までマニアのものと思われたアニメは、社会との接点を増やす ことで、大きく変りはじめました。海外でも同様です。クリエイティブ産業の海外展開が叫ばれるなかで、アニメは国外で高い評価を勝ち取り、 市場も拡大しています。
こうした現象の理由を解くカギは、国内アニメ産業の独特の産業構造にあります。中小企業、フリーランスを中心に形成されることが、柔軟で 素早い戦略の転換、大胆なリスクテイクを実現しています。アニメ産業がイノベイショーションを生みだし続ける先進性について考えたいと 思います。

講師略歴

岡田 智博(Tomohiro Okada) / 一般社団法人クリエイティブクラスター 代表
九州芸術工科大学(修士 芸術工学)・東京大学(修士 学際情報学)・東京芸術大学(博士 学術)
1990年代後半より、マルチメディアを用いた創造活動の紹介活動を、執筆、コンサルティング、キュレーション、プロデュースを通じて取り組んで いる。これらの活動の成果をフィードバックした研究活動を、創造産業、アートマネジメント、文化政策、イノベーション、およびメディア芸術の 分野で行っている。
至近の活動としては、小規模自治体かつ離島初の文化庁メディア芸術祭地方展を石垣島(沖縄県)において製作・マネジメント (平成29年度)、また同じく石垣市における初の文化観光振興プランの策定(平成29年度)に携わっている。

数土 直志(Tadashi Sudo) /フリージャーナリスト
国内外のアニメーションに関する取材・執筆をする。
証券会社を経て、2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、国内有数のサイトに育てた。
2012年に運営サイトを(株)イードに譲渡。2016年に「アニメ! アニメ!」を離れ、独立。
「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。
主著に『誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命』(星海社新書)。